タレントの矢野デイビッドさんが主催する超参加型のトークショー「箱舟に積むモノvol.2」が5月13日に代官山で行われ、50人以上の参加者が集まりました。
「箱舟に積むモノ」は、旧約聖書に登場する大洪水にまつわる「ノアの方舟(箱舟)」から名付けられたイベント。テレビで流れている事だけではなく、身近だけど知らないことを知り、そして一つの箱舟である地球において国境を超えた考えを持ち、同じ舟に乗るひとつひとつの命とどう向き合うか、を考えるイベントです。
今回のイベントのテーマは「就労問題」。自分以外の人がどのような問題を抱え、どのように感じているのか分かりづらいこの問題を、不思議なゲストを迎えて、お客さんと対話する形で熱い議論が3時間以上もかわされました。
そんなトークショーの一部をご紹介します。
今回の大きなテーマは「何のために働いているのか」。もしご飯を食べるために働いているなら、働く以外にもご飯を食べる方法はあります。だけれども、仕事が楽しいならお金をもらわなくても仕事をする人もいるかもしれません。
参加者のITベンチャー社長は、「うちも経営が楽ではないからお金は出せないけど、仕事の場は提供できる。実際そうして無給でエンジニアを雇ったことがあるが、最終的にとても優秀なソフトウェアができた。もちろんそのソフトは会社としては販売しなかった。そういう働き方もある」とし、仕事にはお金が必ず付随するという考えは古いと言う。
ヒゲ加藤さん
一方で、研究者の加藤さんからは、「研究者は家では仕事ができない。高額な施設が必要であるけれど、施設の数は限られているから仕事の無い研究者もいる。しかもビジネスにしようとするとしても、基礎研究はお金にはなりにくい」という意見も出ました。
努力をしたくても、努力をする機会が海外に比べて少ない、というデイビットさん。日本では、投資を受けた全員が成功することを前提としていることが多いと言います。そうしたリスクに対する感覚をどうするかという問題も浮かび上がりました。
そもそも仕事をしたくない、しないでも生きられるようになりたい、という考え方がある一方、何を「仕事」とするのか、という話もある、と参加者から指摘も。
何を生きる糧にするのか、それを手に入れるために働くのか、働かないのか、何をもって働くとするのか、目標はどこか。きっと答えはそれぞれの中にあるのでしょう。
「今日の話の中にはツイッターなどのSNSで炎上するような話がいくつもあったと思うけれど、こういう場で自由に対話できる場が重要であると思います」とは登壇した加藤さん。
そうした多様な生き方をこうした刺激的な場を通して考えるのはどうでしょうか。次回は6月26日(火)19時から代官山カフェ&バー「山羊に聞く?」で行われます。テーマは「震災」。ゲストと共にみんなで話してみませんか。詳しくはデイビッドさんのブログをチェックしてください。(オルタナS特派員=大下ショヘル)