日本社会の発展へ、ITサービス産業にイノベーションを起こすことを趣旨にした「ITと新社会デザインフォーラム2012」が5月21日、開催された。
このフォーラムは3年間に渡って、野村総合研究所(NRI)とNTTデータが共同で行ってきた。今回で最後となるフォーラムには、ITサービス関係者や学生を中心に約820人が参加した。
フォーラムでは、NRIの藤沼彰久会長の開会宣言で始まり、NRIの村田佳生執行役員コンサルティング本部副部長やNTTデータ経営研究所パートナーの三谷慶一郎コンサルティング事業部門長の講演が行われ、NTTデータの山下徹代表取締役の閉会宣言で閉められた。
NRI執行役員の村田氏は「もしもSEが『デザイン』に出会ったら」というテーマで、ITサービス産業における社会価値イノベーションのあり方を講演した。
ソニーのプレイステーション2にゲーム市場を握られていたが、任天堂は対抗馬として家庭用ゲーム機「wii」を開発した。今までのゲームに抱かれていた「電気代がかかる」「一人で熱中する」「操作が難しい」といったイメージから脱却し、「省エネ」「複数で行う」「高齢者でも操作が簡単」を目指し、家族全員がお茶の間に集まりゲームをするという新しい概念を打ち出し新規顧客を獲得した。
このエピソードを紹介し、技術イノベーションではなく、社会課題を先に見つけて、その解決に挑む社会価値イノベーションの大切さを解いた。
両社は今年度以降、これまでの3年間をかけて積み重ねた研究成果を、ビジネスで実践する予定である。
NRIの藤沼会長は「デザイン型人材の重要性を語るエバンジェリストの一人として活動していきたい」と、ITサービス産業界全体を巻き込みながら活動していく意気込みを語った。(オルタナS副編集長=池田真隆)