人身取引の最終地点だといわれている日本。毎年多くの女性が東南アジアから連れてこられ、性風俗店で働くことを強要される。日本は人身取引や人身売買の最終地点だけではなく、住んでいる日本人も人身取引の被害者となるケースもある。
警察に保護される、買春やポルノの被害児童件数は毎年5000件を超える。その多くの事件は未解決で終わると、警察白書および都道府県青少年育成条例報告では書かれている。
NPOポラリスプロジェクトジャパンでは、2004年から人身取引のない社会を目指して活動を開始している。昨年は、電話相談件数が381件。38%が日本人、30%が韓国人、11%がフィリピン人、7%がタイ人であった。
人身取引の被害者救出は困難な状態である、とポラリスプロジェクトはいう。理由としては、被害者の現状を把握することが困難なことと日本には、人身取引の被害に合っている人を対象とした政策がないことがあげられるという。
人身取引の摘発が困難な背景には、組織ぐるみの犯行であること、女性たちが性風俗店で働くことを強要される理由も様々であることなどもある。ある20代のアジア人女性は飲食店で働くことが決まっていたが、働いたとたんに借金を負わされてしまい、性風俗店で働くことを強要されてしまった。日本人女性は、13歳のときに受けた虐待が原因で家出をし、住む場所が他にないということで、定期的に売春をさせられていたという。
他にも、知人に騙されて借金を負わされてしまう場合や、裸の写真を撮られてしまい脅しを受けて逃げることができないなどの理由で強要されている。ポラリスプロジェクトジャパンは「支援するには、まず被害者の状況を把握することが大切」と話す。
同団体では、2011年の年末から、継続型支援のために寄付金を集めるポラリスAKARI PROJECT(アカリプロジェクト)を実施している。毎月2000円からの寄付を受け付けている。集まった寄付金は、電話相談や直接会って支援する活動に充てられる。(オルタナS副編集長=池田真隆)
・ポラリスアカリプロジェクト