道路の破損や落書き等を共有し、市民が自ら参加して解決を目指すサイト「FixMyStreet.jp」(フィックスマイストリート)のβ版が公開され、参加者と支援者を募集している。
機能は実にシンプル。ゴミ、道路、落書き、違法ポスター、街灯の故障、騒音、バリアフリーなどの地域の問題を発見したら、その地域の郵便番号を入力し、地図で場所を特定し、共有する。
サイト上で共有された課題を知り、何らかのアクションをとり問題の解決に関わったメンバーが途中経過をリポートでき、課題が解決した段階でまたリポートする。徐々に参加者が増え、次第に自分たちの住むエリアが綺麗になっていき住みやすくなっていくというのがこのサイトの狙いだ。
「大規模な借金を抱える地方公共団体では、予算や人員が削られていくのが明らか。今後細かい地域課題を、こまめにフォローしていく体制は難しくなっていく事は容易に予想される。そこで地域の課題解決に自分のIT技術を何か活かす事ができないだろうかと思いながら情報収集していたときに、英国のFixMyStreet.comを知り、強く触発された。当初は日本でも誰かがやるのではないかと待っていたが、まるで動きだす気配がなく、それじゃ日本で誰もやらないのなら僕がやってやろうと開発を始めた」と、日本語版開発者であるダッピスタジオ代表川人隆央さん(札幌市在住)は語る。
既に、本家の英国版では、落書きから道路設備の破損まで20万件を超える課題が提供され、次々と解決されている。また、ロケーションごとに区分けされ、課題の件数が一覧で見る事ができるためにその地域に住む住民のリテラシーも判断する事ができるとまでいわれている。
日本語版も地域毎に課題の情報が区分けされており、日本全国で対応が可能な仕様となっている。しかしまだまだ運用を開始したばかり。まずは、持続的な運用を目指して、参加者の拡大と課題解決の実績増を目指している。
この仕組みにいち早く注目した川人さんの開発者仲間が札幌市関係者に問い合せたが、「地域の課題解決の自治体のしくみは十分出来上がっているので特に必要ない」という後ろ向きな回答もある。またデータ量が増加した際のサーバーの運営費用や、セキュリティの対応などまだまだハードルも数多く残っている。実際の使い勝手や実装機能を増やすためにβ版での参加者の募集に踏み切った。
日本版での情報提供、課題解決への参加はメールアドレスがあれば気軽に登録できる。また、フェイスブックアカウントがあれば、ログインや情報共有もさらに簡単な仕組みとなっている。ダッピスタジオでは、さらにフィックスマイストリート連携のスマートフォンアプリの開発をすすめており、より参加しやすいようにチャレンジを続けている。(オルタナ北海道支局長=横山光紀)
・FixMyStreet.jp