*この文章は、今年3月に復興支援団体SETが主催した岩手県陸前高田市広田町への現地滞在プログラムに参加した大学2年生の中西美優さんが綴ったものです。1週間をかけて広田町住民との交流や現状視察、漁業や農業支援などを行い、参加者自身が広田町で何ができるのか、考え抜きました。若者は復興地で何を感じたのでしょうか。

地元の市役所の方々と恊働で行った「田舎でもっといい仲になろう」プロジェクトで、写真手前が中西さん

「分からない」や「できない」が「分かった!」「できた!」に変わり、たくさんの新しい出会い、たくさんの笑顔、たくさんの感情が溢れたかけがえのない一週間でした。

たくさんの思い出はありますが、その中でもひとつだけ、どうしても忘れることのできない思い出を綴りたいと思います。

「人と人との繋がりで社会は成り立っている。」と誰かが言いました。けど、大人になるにつれて、ひとえに「人と人との繋がり」と言っても、それは儚いもので、時には偽りで、とてももろいものだと感じていました。

人を物として扱うような慌しい都会の生活の中で、「人の気持ちを考え行動する」ということを忘れ、人を疑う私の心は広田町で大きく変化しました。

勇気を出して一歩踏み出し、心を開いてくれた地元のおじさん、いつも体調を気にしてくれるおばあちゃん、たくさんの差し入れを下さったおばちゃん、貴重な話を聞かせて下さった地元の若者のみなさん。

私が忘れていた「思いやり」によってたくさんの人が繋がり、温かい笑顔が溢れている中で、私の心も知らず知らずのうちに安らかになり、「思いやり」が芽生えていました。

この一週間で完成させたプロジェクトはもちろんですが、目に見えない感情の変化が私にとっては最大の収穫でした。この先もずっとずっとこの大きな宝を与えてくれた場所を大切にし、そしてこの宝物をもっと大きく輝くものに育てたいと思います。(寄稿・中西美優)