トヨタ財団は7月14日、トヨタNPOカレッジ「カイケツ」を名古屋市で開いた。同講座では、NPO幹部向けにトヨタの問題解決手法を伝える。同日は、トヨタ生産方式の一つである「5回のなぜ」を用いて、団体が抱える課題の真因を探った。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
「事業拡大のため、効率的に情報を発信していきたい」――これは、学童保育の開業・運営支援などを行うNPO法人sopa.jp(東京・港)の板谷友香里・理事兼事務局長が設定した目標だ。
同講座は今年12月までの連続講座で、公募で選ばれた30のNPO幹部は、それぞれ目標を定めている。受講生たちは、トヨタ自動車で品質管理に携わった現役・OBからの指導を受けながら、その目標を達成することを目指す。
同日は「要因解析」を行った。要因解析について、「仕事のやり方の悪さと不具合現象の関係を調べるステップ」と講師の杉浦和夫・改善QA研究所/元トヨタ自動車は説明する。
板谷氏は、「情報発信で一定数のファンを獲得し、イベントなどの集客に困らなくなりたい」と目標を話した。同団体では、30人規模のイベントを企画することが多いという。
板谷氏の講師を務める藤原慎太郎・トヨタ自動車業務品質改善部第1TQM室主査は、イベントに人が来なくなった原因の調べ方についてこうアドバイスした。
「まず、イベントには参加者を増やしたいのか、もしくは(当日手伝いの)スタッフを増やしたいのかを区別する。そのうえで、来てくれる人と来なくなった人にそれぞれ理由をたずねる。両者から出てきた理由をまとめると原因を定めやすい」
イベントに来なくなった人には、メールや電話ではなく、会ってたずねるのが効果的だという。「『忙しい』・『お金がない』などの理由は、多くの場合本音ではない。ネガティブな意見を聞くときは、面と向かって聞いてみる。『何があったら来てくれる?』とたずねるのも良い」(藤原氏)。
原因を把握したら、次はその真因を探るステップに入る。そのときに用いるのが、トヨタ生産方式の一つである「5回のなぜ」だ。これは、一つの事象に対して、5回「なぜ」と自問自答するもの。
■「なぜ」と「だから」の往復
講師を務める河合武雄・河合WORK研究所所長は、「5回のなぜ」を考えるときは、「なぜ」と「だから」の往復になっていないといけないと言う。
一般社団法人いなかパイプ(高知県高岡郡)代表の佐々倉玲於さんは、自身の業務移管を課題とした。佐々倉さんは、業務を教えられない原因として、「(自身の)余裕のなさ」と「(人を雇うための)給与の支払い」をあげた。
河合氏は、「人を増やすことと、収益を上げることは別の問題」と指摘。「5回なぜと考察するときには、その答えの大小が違うとつながらない。なぜで出した答えから、『だから』で戻れる形になっていないといけない」と説明した。
カイケツの第5回目は8月18日に開かれる。テーマは、「対策実施・対策効果の検討」。
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