日本のベトナムへの原発輸出に批判した内容をブログに記載したベトナム人気ブロガーが傷病兵らから脅迫を受けた。人気ブロガーとは、古典音楽史研究者として著名なグエン・スアン・ジエン氏。

RFIベトナム語放送の原文


5月23日に、在ベトナム大使館宛に原発輸出に抗議する文書と署名を提出し、日本政府にも郵送した。ジエン氏は6月1日に、ハノイ市情報メディア局から呼び出しを受け、同日の午後5時頃に解放されたという。

ジエン氏は、呼び出しを受けた理由が明らかにされていないということで、情報局の監査に対して不服を申し立てた。ジエン氏は、自称傷病兵と名乗る者たちが事務所に訪れて、乱暴を働き、日本政府向け署名のブログ記事の削除をもとめられたとも、ブログに記載している。(オルタナS副編集長=池田真隆)


以下が、この事件について報道したRFIベトナム語放送の内容である。

グエン・スアン・ジエン博士、監査を受けたことに不服申し立て
トゥイ・ミー
2012年6月6日 RFIベトナム語放送 (文責 メコン・ウォッチ)


昨日2012年6月5日、xuandienhannom.blogspot.comのブログページの主であるグ エン・スアン・ジエン博士は、ハノイ情報メディア局に不服申立書を送付した。

博士によると同局での監査に「法律を遵守しない」の行為があったためだ。 グエン・スアン・ジエン博士の不服申立書は、2010年の監査法を引用して、同法 による監査実施の決定の条件のひとつとして「法律違反の証拠が発見されたとき」 と規定されているが、ハノイ情報メディア局による監査決定には彼がどのような違反をしたかは記されていない。

同時に監査時にはハノイ市公安幹部2名が同席したが、彼らは監査実施機関に属 していないため、07/2012号政府議定に合致しない。さらに上述の不服申立書では、監査中にその監査の目的の核心には触れず、強圧的な態度で、監査を受ける側は文書で内容の通告を受けることもないため説明ができなかった。

グエン・スアン・ジエン博士は、監査の状況を本人の同意なくビデオと写真で撮影されたこと、そしてあたかも刑事事件で告発されたかのような 扱いを受けたことにも不服を申し立てている。

グエン・スアン・ジエン博士は情報メディア局に対して、上述の法律を遵守していない監査決定を破棄するように要求し、同局に出向いて監査を受けることを拒 否している。

また同氏は説明が求められる問題を事前に文書で通告し、弁護士と証人の同席と援助を認めるようにと求めている。本日6月6日のジエン博士への電話インタビューによると、明日(訳注:6月7日) ハノイ情報メディア局が同氏の自宅に人を派遣し、監査を続けるとのことである。

昨日VTVベトナム中央テレビは、ジエン氏に同行して情報メディア局に行ったレ・ヒエン・ドゥック氏を批判するルポを放映した。ベトナム共産党のホームペー ジも、混乱を引き起こした対象者たちを処分するために公安が証拠を集めているという記事を掲載している。

グエン・スアン・ジエン博士のブログは有名で、アクセス数も非常に多い。昨年の東海(訳注:日本名は南シナ海)における中国の攻撃的態度に反対するデモでは、氏のブログが状況をリアルタイムで詳しく報道した。

また最近のティエン・ランおよびヴァン・ザンの土地強制収用事件では、グエン・スアン・ジエンのブログが多くの意見や声明を載せ、大勢の署名を集めていた。

6月1日にグエン・スアン・ジエン博士はハノイ情報メディア局に氏の個人ブログに関することで呼び出され、監査決定の通告を受けた。同日、ブログはアクセスできない状態になったまま現在に至っている。

5月18日には、自称傷病兵の見知らぬ一団が故意にグエン・スアン・ジエン博士 の職場であるハンノム研究所に押し入り、氏のブログから記事を削除するように 脅迫するという事件も起こっている。