7月に行われた参議院選挙で自民党が圧勝し、衆参のねじれは解消された。安倍内閣が掲げていた憲法改正が加速しそうだ。麻生太郎副総理の、「ナチスに学べ」発言も飛び出すなど、世間に気付かれずに、静かに改憲することを政権は望んでいるのだろうか。

ジャーナリストの田原総一朗氏は、「ドイツではワイマール憲法によって、ヒットラーのナチスが第一党に選挙で選ばれた。そしてワイマール憲法を潰した。論議もしないで潰した。この手口を見習えというのは悪い。これは大間違いだ。論議は大いにすべきだ。静かに憲法改正をすることはない」と指摘する。

そもそも現憲法は、GHQから押し付けられたものなのだろうか。『憲法「押しつけ」論の幻』(講談社現代新書)の著者小西豊治氏は、「日本国憲法の核心をなす『国民主権の宣言規定』と『象徴天皇』はマッカーサー草案をさかのぼって、憲法研究会案に起源をもっているのである。日本国憲法の核心部分は憲法研究会が生み出したものであり、日本側のオリジナルな思想が生んだものである」と述べている。

小西氏の主張から、日本国憲法には日本人の思想がつまっていることが分かる。まさしく憲法が変わることは、時代の流れが大きく動きだすことを意味する。日本国憲法の成り立ちから、自民党が進める憲法改正について触れた記事を順次掲載していく。何か気になった点があれば、SNSなどを使って、声をあげてほしい。


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憲法はどう変わるのか――「戦争の放棄」「国民の権利」「言論表現の自由」

京都大学法学部教授も務めた故 高坂正尭氏は、「日本国憲法は素晴らしい。なぜなら、国民に主権があり、言論表現の自由があり、戦争を放棄しているからだ」と述べている。しかし、現在、自民党が進める憲法改正草案では、この3点はすべて変わる方針だ。

変更される点として、大きな注目を受けているのは、「戦争の放棄」に関する9条、「国民の権利及び義務」の12条、そして、「表現の自由」を規定した21条だ。どのように変更されるのか、下記に全文と変更点(黒太文字)を記載した。(本文一部抜粋)

アメリカの「押しつけ」は間違い、日本国憲法を考案した私的な研究者たちvol.1

日本国憲法がアメリカから押しつけられたものとされる理由には、「国民主権」「戦争放棄」「基本的人権の保障」という同憲法の根幹を成す原則を設けたからだと言われている。しかし、アメリカ側は、「国民主権」を設ける考えを持っていなかったことが明らかになっている。

マッカーサー三原則には、「国民主権」の宣言規定には触れていないことが分かる。さらに、現憲法の「天皇が国政に関する権威を有しない」という考えも持っていなかったことが分かる。

では、一体誰が日本国憲法に「国民主権」の規定を提案したのか。それは、ジャーナリストや憲法研究家、大学教授など私的な研究者集団から成り立つ「憲法研究会」である。同研究会が1945年12月26日、首相官邸に提出した「憲法草案要綱」に、「国民主権」の規定が記されていたのだ。(本文一部抜粋)

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