内閣府が主催する青年国際交流事業の一つである「世界青年の船」事業の報告会が開催された。報告会では、今年1月後半から3月にかけて青年の船に乗り航海した第24期生の活動発表が行われた。
世界青年の船では、世界各国から集まった青年たちが約1ヶ月間にわたり船上生活を共にする。ディスカッションや異文化交流を通して、国際社会で活躍するリーダーシップを育成することを目指している。
第24回目となる今回の事業では、日本から129人、ブラジルやインド、スペインなどの海外12カ国から131人、総勢260人が参加した。船内では1時間で自国の文化を発表するナショナル・プレゼンテーションや、参加者自身の経験や専門分野についてセミナーを開催するPYセミナーなどが行われる。
今回参加した吉田沙矢香さんは、視覚障がいを持ち目が見えない。視覚障がい者としては、青年の船へ初参加であった。「私たちの社会には多様なバックグラウンドを持った人びとがいる。多様な人が共有できる社会をつくるには、個々が自分らしくあるべきである。今後は、青年の船でできた国内外のネットワークを使って、障がい者へ国際交流の機会を提供し、障がい者理解を促進していきたい」と話した。
この事業から途上国支援や教育関係の仕事に就く若者が多く排出されているが、今月11日、府省庁版事業仕分けで「世界青年の船」を含む内閣府青年国際交流事業6事業(平成23年度14億6千万円)は「廃止すべき」と判定された。
船の運航委託費(7億4千万円)について「船で実施する必要がない」との指摘や、参加者一人当たりの国費負担187万円に対しての自己負担額が平均12万円と低額な点が国民の理解を得られないと判断した。
しかし、今回の判定は内閣官房・内閣府等行政事業レビューという一つの委員会が出したもので、「廃止」が正式に決まってはいない。
日本青年国際交流機構副会長の大橋玲子さんは「行政レビューで、内閣府青年国際交流を『廃止すべき』としたのは適切ではない。 六種類の事業は目的が異なり、外交上のものもあり、相手国と費用分担をしているものもある。 事業の成果は、既参加者の社会活動への取組であり、海外57カ国とのネットワークと47都道府県に組織を設立している。 今の日本は、若者への施策が弱いが、本事業は貴重なリーダー育成プログラムなので、若者達にチャンスを継げたい。事業継続と適正な効果測定への働きかけを始めている」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)