ミュージシャンの坂本龍一さんが、本格的に「脱原発」の運動に動き始めた。7月7、8日に幕張メッセ国際展示場で行われる音楽イベント「NO NULKES 2012」に両日出演する。

チケットはぴあ店舗やコンビ二店頭、ネットで発売中


同イベントの公式サイトによると、坂本さんの「脱原発をテーマにした音楽イベントを行いたい」という呼びかけに賛同したミュージシャンが結集する。「アーチストが『脱原発』というメッセージを発信することで多くの音楽ファンに原発に対する関心を強めてもらうことがこのイベントの目的」(公式サイトのNO NUKES 2012事務局の挨拶)

小山田圭吾、斉藤和義、元ちとせ、七尾旅人、ソウル・フラワー・ユニオン、大友良英など、各日9組のミュージシャンが出演予定だ。心憎いのは、「忌野清志郎スペシャルセッション」の企画だ。

坂本さんと親交の深かった故・忌野清志郎は、1988年にRCサクセションとして発表予定だったカバーアルバム「COVERS」で洋楽に反核・反原発を訴える日本語詞を載せたことで発売中止にされた。

その後、キティレコード(現・ユニバーサルミュージック)から発売されたが、この一件は発売元の東芝EMI(当時。現・EMIミュージック・ジャパン)の親会社である東芝が原発の建造を請け負っていたことから、「圧力がかかったのでは」と噂になった。

そうした経緯を知って東芝製品を避ける不買運動に走るのも、「脱原発」運動の一つだ。しかし、それ以上に自分の言いたいことさえ封殺されかかった忌野の無念さ、悔しさを今回のステージで晴らしてほしいと願うファンは多いだろう。

もっとも、往年のテクノファンにとって目を引く出演者は、YMO以前からテクノ音楽を発表してきたKRAFTWERK(クラフトワーク)かもしれない。彼らがYMOと競演するこのイベントは、音楽イベントとしても十分に価値がある。

そのうえ、このイベントの収益は、「さようなら原発1000万人アクション」の中心である「『さようなら原発』一千万人署名市民の会」(東京・千代田)に全額寄付される。質の高い音楽を楽しむだけで、「脱原発」の声が高まる。そんな仕組みが国内外にもっと増えてほしい。(今一生


●NO NUKES 2012
http://nonukes2012.jp/