日本に住むロヒンギャ族が9日、東京品川にあるミャンマー大使館前で抗議活動を行った。抗議活動を行った目的は、ミャンマー西部のラカイン州で発生しているロヒンギャ族への大量虐殺を止めるためだ。
同日午後1時過ぎには、ロヒンギャ族の男性を中心に30人以上が集まった。「虐殺を辞めて。宗教紛争を起こさないで」という声が約1時間にわたり、ミャンマー大使館前で鳴り響いた。
この日抗議活動に参加したエナン・ウーラ氏は、「私たちの声をミャンマー政府に届けてほしい。ロヒンギャ族を守ってほしい」という想いを口にした。
ロヒンギャ族は、1982年ミャンマー政府が無国籍者として認定した少数民族。人口は70万から100万人とされ、独自の軍を持たず、イスラム教を信仰している。移動の自由や教育、仕事などのあらゆる行動が制限され、1940年代以降、国教である仏教を信仰しているラカイン族らから迫害を受けてきた。
ラカイン族からの暴行が過激化したのは、先月8日から。発端は、同日に起きたラカイン族少女の強姦事件。ロヒンギャ族の仕業とされ、ラカイン族の暴行が発生した。しかし、犯人がロヒンギャ族という証拠はない。
日本に住むロヒンギャ族の女性カディサ氏は、現地のロヒンギャ族とパソコンで連絡をとりあっている。現在までで1万人以上が無差別に殺されているという。ミャンマー政府も、国教である仏教を信仰するラカイン族側の立場を取り、ロヒンギャ族への支援は少ない。
この事態に国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは7月5日、「ビルマ政府の治安部隊は、ロヒンギャ族へ大量逮捕と違法な実力行使で対応しており、人権侵害を引き起こしている」と述べた。
抗議活動の終わりには、抗議文がミャンマー大使館に投函された。「今後、ミャンマー政府へどのように働きかけるのか」というオルタナSの取材に対して、ミャンマー大使館からの返答は得られなかった。(オルタナS副編集長=池田真隆)
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