今月13日、京都市内で宗教・宗派を超えて宗教者51人が集まった脱原発を求める共同声明を発表したが、その動きに対して全国寺院の9割以上が加盟する日本唯一の連合体である全日本仏教会は距離を置いている。
13日の会見では、河野太通氏(全日本仏教会前会長・臨済宗妙心寺派管長)が呼びかけ人となり、仏教やキリスト教をはじめ、脱原発に賛同する宗教者が出席した。河野氏は、「命を守る宗教者として、今こそ言わなければいけない」と話した。
河野氏は、2010年から全日本仏教会の会長を務めていた。1994年から2002年までは、禅の研究に特化した仏教系大学である花園大学の学長も務めた経歴も持つ。
福島原発事故以来、各宗派が脱原発を求める声明を出していたが、共同で声明を発表したのは初めてである。昨年の12月には、全日本仏教会も、「原発に依存しない生き方」を提示した声明文を発表している。12月当時の会長は河野太通氏だった。
しかし、13日の動きに関して全日本仏教会の関与の動きは見られていない。全日本仏教会は、「13日の記者会見の動きは、あくまで個人が集まり発表したことであり、全日本仏教会は関わりがない」とオルタナS編集部の取材に対して答えた。
12月に全日本仏教会が発表した声明文と、13日に河野氏らが発表した共同声明文は同じ方向性なのではないか、という質問に対しては、「全日本仏教会としては、『原発推進』や『停止』の文字を声明文の中には入れていない。つまり原発推進や停止の立場を取ってはいない。それよりも、足るを知る生き方を提示している」と話した。
一方、13日に河野氏らが発表した共同声明文では、「宗教者は原子力発電所の停止を求める」とはっきりと脱原発の意向を述べている。全日本仏教会では毎年3回ほど開催される理事会の採択をもとに声明文が発表されることとなっている。昨年12月に発表した声明文も理事会の採択をもとにして発表された。
次の理事会は今年11月に開催される予定である。しかし、現段階で13日の動きは議題に上がっていないという。(オルタナS副編集長=池田真隆)