49.5%。この数字は通信制高校の生徒が卒業後に、進学も就職もしない割合を示しているものである(2011年度文科省発表「学校基本調査」を基にNPO法人D×Pが算出)。通信制高校卒業者の大半は生活不安定者となり、社会的に弱い立場に立たされてしまう。

一方、2009年度の高等学校卒業者数は106万3千人。そのうち、卒業後に進学も就職もしない者は5万5千人であった。割合としては、わずか5.2%である。

クレッシェンドの授業風景


通信制高校の生徒の大半がこのような進路を選択してしまう原因は大きく分けて二つある。まず一つは、コミュニケーション能力の問題である。通信制高校に通う者の多くは何かしらの人間関係における悩みを抱えているという。中でもいじめを受けた生徒は少なくないという。

そして、もう一つは学校側の就職相談への対応である。通信制高校に通い現在は放送大学4年の男子学生は、「就職を希望する生徒へのサポートは少ない。就職活動は生徒個人に任せており、そもそも就職相談窓口を設置していない学校もある」と話す。

この現状を変えるために動き出しているNPO団体もある。大阪に拠点を持つ、NPO法人D×P(ディーピー)である。通信制高校でコミュニケーション能力をつける教育支援プログラムを行っている。2010年から活動を開始して、今年6月に法人格を取得した。

クレッシェンドと名付けられたそのプログラムは、大阪と京都にある2校の通信制高校で導入されている。2校合計で160人いる生徒数の約3分の1にあたる50人が受講している。ここでは、主に20代の社会人が講師となり、生徒と「夢」や「失敗談」、「挫折の乗り越え方」などをテーマに話し合う。1クラス10数人に対して、5人ほどの講師がつくので、一人ひとりとしっかりとコミュニケーションが取れる。

この授業は毎月1回、年間を通じて行われている。ディーピー共同代表の今井紀明氏(27)は、「社会人の失敗談や目標などをテーマに毎月話していくうちに、生徒が笑顔を見せたり、自己表現をするようになる」と話す。普段接する事のない社会人と話すことで、悩みを打ち明けられるようになるという。


今井氏はイラク人質事件で拉致された一人。設立した背景には、社会から拒否された壮絶な過去があった