「これからは自然エネルギーが大切」。そう言われても、自然エネは身近ではなく実感がないと思う人も多いのではないだろうか。北海道大学CoSTEP(科学技術コミュニケーター養成プログラム)で科学技術コミュニケーションを学んだ学生たちがチームを作り「全日本ママチャリ8時間耐久レース」に出場した。実際に発電を体感し、節電や自然エネルギーを「自分たち事」にする取り組みだ。

発電機を装備したママチャリを囲む参加者


多くのチームのママチャリが軽量化をする中、彼らの自転車のハンドルには風車、タイヤにはダイナモ(発電機)、荷台にはソーラーパネル、そしてかごには発電量を計測する機器や、データを集計するノートパソコンを取り付け、どのチームよりも重いペダルを10人の選手でこぎ続けた。選手が待機するピットには、チーム以外の人にもわかるようにポスターを貼り、エネルギー問題を考えてもらう仕組みも準備した。

十勝スピードウェイ(北海道・更別村)では7月29日、200余りのチームと一緒に8時間にわたる熱いレースが真夏の太陽の下、繰り広げられた。レース中は発電量の変化や選手の心拍数などのデータを採取。同じチームメンバーの北海道大学の児玉耕太准教授が詳細に分析をして、学術誌への発表する予定だ。

メンバーの一人、阿部光紗さんは、「エネルギーを作り出すということが想像以上に大変だと実感した。発電量より、データ解析のために消費した電力の方が正直多いのではないか。今回の挑戦を通して、発電技術開発を始めた人たちにも強く興味を持った」と語った。

何かを作り出すことではじめて、「当たり前」が当たり前ではないことに気づくこともある。私たちひとりひとりが、問題を「自分たち事」として考えることができれば、解決に繋がるのではないか。(オルタナS北海道支局特派員=内野亜沙美)