グローバル化を目指す国内企業が中国現地の大学に通う新卒中国人学生を、SNSを使い採用するサービス「日企招聘SRI」が展開されている。ソーシャルメディアを使って就職活動する「ソー活」のグローバル化が始まった。
運営しているのは、平均年齢20代前半のソーシャルリクルーティング(東京・渋谷)。代表取締役の春日博文氏は(24)2011年4月に学習院大学を卒業すると同世代の仲間とともに起業し、フェイスブックを使った就職活動支援サービスを日本で初めて開始した。「ソー活」の仕掛け人である。
「日企招聘SRI」では、中国人学生と国内企業をSNSでつなげている。国内企業は、送付された履歴書を基に審査し、Skype面接を行う。このSkype面接に合格した学生のみと、実際に会って面接を行い、内定を決める仕組みである。
今まで中国人学生を採用する場合は、大手企業が中国現地で開く合同説明会に出席する方法が主流だった。SNSを採用活動に取り入れることで、現地に行かなくても学生とコミュニケーションを取る事ができ、大幅に採用コストを削減できる。大手企業だけでなく中小企業のグローバル人材の採用が加速しそうである。
春日氏は、「大手企業が主催する中国人学生採用向け合同説明会への参加費は約100万円で、採用した学生一人当たりの費用も100万円ほど。中国人学生を採用するには、予算のある大手企業に絞られていたが、このサービスでコストを大幅に削減できた」と話す。
同社のサービス「日企招聘SRI」への掲載費は、約20万円ほど、採用した費用も学生一人につき同額ほどだ。日企招聘SRIには、北京大学や清華大学など政府認定の優良大学に所属する学生を中心に約2万人が登録している。
中国人学生への採用サポートも行っている。履歴書の添削や、代表の春日氏によるSkypeでの模擬面接を行う。模擬面接へは毎週50人以上から応募がきているという。
昨年、同社のサービスで中国人学生3人を採用したある採用支援会社では、「創業以来、中国人を採用したことはなかった。今まで、事業のグローバル化は検討していなかったが、社員に中国人がいるので、自然とグローバル展開を考えるきっかけとなる」と話す。
春日氏は、「日本の中小企業やベンチャーの中には、海外で展開できる可能性を持つ企業がある」と話す。
今後は、中国以外にも日本との親和性の高い、インドネシアやベトナムにも同じサービスを展開する予定である。(オルタナS副編集長=池田真隆)
・ソーシャルリクルーティング