フェアトレード事業を行う福市(大阪市西区)は2日、同社ビルの地下一階のギャラリーにて「EAST LOOP感謝祭」を行った。EAST LOOPとは、同社がこれまで培ってきたフェアトレードのノウハウをもとに東日本大震災で被災した人々に対して仕事を生むプロジェクトだ。

イベント参加者全員でとった集合写真。手でハートをつくっている。


被災した人たちが作ったハートのブローチなどの商品は、実際に全国の百貨店などで販売され、商品代金の50%が作り手の収入となる。

今回のイベントは、昨年5月のプロジェクト立ち上げから1年以上がたち、活動を応援する人たちに対して日頃の感謝の気持ちを表すという趣旨のもと開催された。イベント当日は、同社スタッフのほか、被災地から招かれた作り手たちによる活動報告が行われた。

同時に、会場内では、写真家の東森史朗さんによる被災地の様子を写した写真展やシンガーソングライターのRYOTAさんによる生ライブでEAST LOOPのプロモーションビデオのために作られた曲が披露された。それに加えて、EAST LOOP商品の販売も行われ、会場を訪れた人の多くが商品を購入していた。

同社代表の高津玉枝さん(51)は、「被災された方々の心の傷は大きく、震災直後にイベントをやろうという気持ちにはとてもなれなかった。ただ、被災地の現状を知ってもらいたいという思いもあり、またプロジェクト活動を知ってもらうことで、支援の輪が広がると思った」と語る。震災から1年半が過ぎ、少しずつではあるが被災者たちの心も落ち着いてきたことを実感し、このタイミングでの開催にいたったという。

EAST LOOPの活動は、来年の3月にひとつの目途とし、被災地の人たちに事業を引き渡していく予定だ。

「私たちは、今後も何らかの形で支援は行っていくつもりだ。ただ最も大切なのは、被災された方々が本当の意味で自立できるようになることだと思う。そのための支援を行っていきたい」と高津さんは語った。(オルタナS関西支局特派員=橋本翔一朗)