1977年に刊行されたイヴァン・イリッチ著書の「脱学校の社会」を紹介する。

本書は脱学校論という「他人に教えられ、学ばれる」受動的な行為から、「自ら学び、互いに教えあう」能動的な行為といった、教えてもらう制度、機構である学校から離れて、自分で自ら学び、育てる「独学」を取り戻すことを提唱した本である。

現代の教育問題を大きく変えることができるかもしれない一冊だ。


教育費の削減、学歴制度の廃止といった学校制度をなくすことの利点や、教師と学生の定義や有無、資本投資をおこない、収入と威信を高めるための「ゲーム」といった教養の身につけ方など、学校や教育のあり方について問題提議する内容となっている。

1977年に刊行された本書を今回紹介した理由は、現代の教育問題について考えてもらいたいからだ。2011年10月の大津市中2いじめ飛び降り自殺をはじめ、2004年の佐世保小6女児同級生殺害事件、2003年の長崎男児誘拐殺人事件などの少年犯罪が近年多発している。

少年犯罪が増加する理由として子供に対し、大人が偏差値の高い大学を目指すための過酷な受験勉強や一方的な期待を押し付け、多大なストレスを与えているのが一つの要因ではないかと考える。

学校の存在自体を否定しないが、学校のあり方や、学校教育のカリキュラムは時代ごとに変換していかなければならない。これからの教育問題を考え直すひとつのきっかけとして脱学校の社会をオススメしたい。(オルタナS特派員=高橋一彰)


「脱学校の社会(現代社会科学叢書)」