4月5日に代官山UNITで田中優氏による今回の原発事故に関する講演会がありました。
当日は500人もの人が来場し大変な盛況でした。

講演会の様子はアースガーデンがユーストリームで公開しています。
是非ご覧になることをおすすめしますが、編集員が聞いた内容の要点をかいつまんでご紹介します。

■アースガーデンHP http://www.earth-garden.jp/community/9796/

<原発について絶対に知っておきたい12のこと>
1.保険会社が見る日本の原発

原子力発電所には保険がかけられており、保険会社はさらに再保険を他社に委託するのですが、日本の原発はイギリスのロイズに委託した際最初断られています。

理由は日本の地震の多さ。最終的にロイズは「地震は免責、上限は600億円」の条件で原発の再保険を受けたとのこと。
お金にシビアな保険会社から見ると、日本に原発をつくるということはそれほどリスクの高いことなのです。

講演会内参考資料)
1970-2000 震度5以上の地震 英:0回 独仏:2回 米:322回 日本:3954回

2.持続する危機感を

今回の原発事故でみなさんマスクをつけたり、水に気をつけたりとされていると思います。

しかし、原発事故はここからです。原発の停止には成功しましたが、冷却設備は稼動していません。原子力発電所は大量の熱を持っています。戦いはまだまだこれからなのです。

田中さんは「危機感で人が動くのは1ヶ月がいいところ」と声高に危険性を叫ぶのも大切ですが、周りの人々にも長く気をつけてもらうためには冷静に事態を注視すべきとのこと。

3.「直ちに影響は出ない」のウソ・ホント

政府は毎日のように「放射能は観測されているが、直ちに影響が出ないレベルである」と発表しています。では、直ちに影響が出るレベルとはどういう状況なのでしょうか。

それは「焼け死ぬレベル」です。つまり原爆を落とされたときのあの状況のことなのです。

確かに現在の放射線量は直ちに影響は出ませんが、数年から10年以上後に影響が出る可能性があるのです。放射線は浴びれば浴びるだけ発がん性が高まります。例え被曝量がわずかであっても確率的には発がんのリスクは高まるのです。

そしてもし発がんしても、放射能の影響だったと証明することはほぼ不可能に近く、だからこそ我々は自分の身を自分で守らなければいけないのです。

4.被曝量はレントゲン一回分

大気中の放射線量を例えるときよく「レントゲン一回分」という表現がありますね。しかし、このレントゲン一回分の放射線量は1時間あたりの被曝量です。放射線は大気中にずっとあるわけですし、もし体内に入った時はその被曝をずっと受け続けることになります。

この状況をレントゲンに例えると「一日に十数回、毎日レントゲンを受ける」ということになります。

田中さんいわく「趣味はレントゲン」状態なわけです。レントゲン一回分というと少し気がゆるみますが、実際はそう甘いものではないようです。

5.原発事故最悪のパターン

今回原発事故が起きたのはご存知のように福島県です。しかし、もしこれが静岡県の浜岡原発や佐賀県の玄海原発だったらどうなっていたでしょうか。日本には偏西風という西から東へ吹き抜ける風がありますから、九州で飛び散った放射性物質は風に流れて日本列島を横断していたのです。

それでもみなさんは原発にこだわりますか?

6.なぜ電力会社が原発にこだわるのか?

後述しますが欧米では原子力発電は少しずつ減少しています。なぜ日本の電力会社は原発にこだわるのでしょうか?

その理由は電気の料金体系にあります。電力会社はいわば準公的機関ですからあまり儲けすぎないよう必要経費の3.5%が「適正報酬」というものが法律で設定されています。例えば必要経費が1000円なら35円が電力会社の報酬であり、我々は合計の1035円を支払うわけです。

もし報酬を増やしたいならば経費を増やせばいいのです。経費が増えても消費者が負担するわけですから、電力会社は痛くもかゆくもありません。そして最も経費のかかるもの、それが原発というわけです。

(2)へ続く