留学というと、海外に行くというイメージを湧くかもしれない。しかし海外ばかりではなく日本の地域にも、知らない資源が眠っている。村・留学プロジェクトは村外の学生が9月8日から16日までの9日間、京都府唯一の村である南山城村を中心に行われた。

サステナブルの講義を受け、村の人たちとの交流や農業体験など村での生活を通して村の資源に注目していくことで、実践的なサステナブル思考を養っていった。

南山城村で見かけた看板


なぜ、サステナブルを学ぶ必要があるのか。今、日本は定常期、つまりモノを沢山作っても売れない時代に入った。売れない時代で必要なこと。それは、成長期にできた悪いものから良いものへのシフトを起せる創造性。その良いものというのが持続可能性があるという事であるからだ。

サステナブルについて学び、学んだことを村に置換出来る事がこのプロジェクトの強みでもある事は間違いないだろう。プログラム内容は、農業体験や山菜採り、鮎取りなどのフィールドワーク、食について学ぶ食育、村の魅力を伝えるガイドブック作り、サステナブル講義。

開墾作業の様子


フィールドワークでは、ブルーベリー摘みや鮎取りなど楽しい体験だけでなく、開墾や草取りなど汗滴る体験も行った。そこで学んだことは、「僕らが体験したことはほんのわずか。にも関わらず非常に疲れるし、時間のかかる作業。そこからは農家の方たちの苦労の片鱗を伺えた。農家の方が作った農作物ひとつ食べるにしても、本当に感謝するようになった」ということ。

村恋カフェにて胡麻豆腐作り


村の暮らしや村の人達との会話、食を実際に作る・食べるを通して、”食”とはなにかを考えてきた食育チーム。食育チームメンバーの小山紗也加(18)は「参加する前は、食って命を大切にすることなんだって思ってました。けど村留学を通して、食材→それを作る農家さん→それを料理する人(お母さんとか)+食べる環境、っていう口に入るまでの過程を、それぞれ改めて知ることが出来て、感謝することが食育なんだと思うようになった。 リアルな体験を通して学べたことが大きかったです」と話す。

村の人への取材風景


外の学生にしか作れない、村の魅力を伝えるガイドブック作り。学生が見てきたもの・聞いたこと・感じたことを村の魅力として伝える。来年二月、京都府内に一万部配布予定だ。

村での生活で得たことは、村への関心だけでなくて、人としての成長が見られるところも村・留学プロジェクトの特徴かもしれない。参加者の佐々木詩織(19)は「ここに来る前は、自分のことはあまり話さない引っ込み思案っだった私。けど、ここに参加しているメンバーの相手を理解し、向き合おうとする姿に心を打たれて、私もしっかり向き合っていきたいと思えた。皆のために何かしたいと思えるようになった。もっと自分を出していきたい!と思えるようになった。本当に参加して良かったです」と、話した。

村で自分の理想とする人物像にも出会えたメンバーもいる。宮木大輝(19)だ。「将来、柴垣さんのような生活がしたい!自然いっぱいの中にいると、めっちゃ気持ちいいんです!僕の好きなものが、柴垣さんのお家にはそろっていて、理想とする将来の家に出会えました。農業もやりたいと思ってて、仕事にしたいなって思ってたけど、仕事にしなくても、自分が育てた野菜を食べることが出来たらそれでいいかなと思った。楽しんで農業したいなと思ったから。柴垣さんを見てたら、目がキラキラしすぎてて、絶対幸せなんだと思いました」

村の商工会から頂いた「村人Tシャツ」を着るメンバー


メンバーのひとりが言った。「あれ、あの人初めて見る顔だな。」その瞬間、僕らは”村人”になれたような気がした。僕らは村の一部を知った。問題意識を持った。サステナブルを学んだ。村・留学プロジェクトはこれで終わりではない。そこに村人がいる限り、僕らに問題意識がある限り、続いていく。これは村・留学プロジェクトだから。(オルタナS特派員=高柳龍太郎)


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