『バレンタイン一揆』(監督・吉村瞳)というドキュメンタリー映画が11月に公開される。これは、世界の子どもを児童労働から守る活動を続け、今年12月に設立15周年を迎えるNGO ACE(東京・台東)の設立15周年記念作品として制作されたものだ。

映画のワンシーン


ACEはこれまでに1,000人を超える子どもたちを児童労働から救ってきたが、児童労働について考える機会やアクションは少ない。児童労働をより身近に感じ、「自分たちにもアクションができるのだ」と思ってもらう必要がある。

そこで、2011年11月に「ユースがつなぐ、日本とガーナ」プロジェクトを企画した。これは、日本の高校生と大学生がNGOのACEの支援するガーナの村を訪問し、自分たちの目でカカオ生産地の現状を見て、現地の人々との交流を通じて日本とガーナのつながりを実感し、アクションを起こすことを狙いとしたプロジェクトだ。

ガーナを訪問する代表者を選ぶための合宿「ACEユースアカデミー」に全国から高校生、大学生が集まった。カカオ生産地で起きている児童労働の現状を学び、児童労働を解決するために自分たちに何ができるかを考え、参加者どうしでガーナへ派遣する代表者を選考した。

そして、そこに参加した高校生、大学生の有志によって、2012年のバレンタインにカカオを原料とするチョコレートを通じて何かプロジェクトを起こそうと「バレンタイン一揆」というプロジェクトが立ち上がった。

こうして高校生と大学生の代表3人はACEが支援するガーナの村を訪問し、カカオ農園で働かされ、学校にも行けない児童労働の現実を目撃することになった。

そして、彼らが中心となり、「バレンタインデーに大切な人へ贈るなら生産者のことも大切にするフェアトレードチョコレートを選んでほしい」という趣旨で、大勢で同じ日時に買い求めに行くアクション「バレンタイン一揆」が今年2月に始められた。

映画はこうした一連の動きを撮影し、記録した。11月23日(金・祝)、文京学院大学(東京都文京区向丘1-19-1)の仁愛ホールで完成披露会が開催予定。2013年1月より順次上映会が開催されるが、上映会の企画や映画『バレンタイン一揆』の制作・上映のための募金「世界の子どもの権利基金」への寄付も同時に募集している。(今一生


・映画『バレンタイン一揆