7月4日から稼働するソニーの新オフィスビル「ソニーシティ大崎」。(品川区大崎)「Road to Zero」(2050年までに事業活動による環境負荷ゼロを目指す環境計画)を宣言したソニーですが、その一貫として新社屋には至る所に環境対策が施されているそう。入居前のオフィスにお邪魔し、いろいろとうかがってきました!

新社屋は、JR大崎駅の西口正面にそびえる25階建てビル。高さ140m×幅140mのビルはスタイリッシュな外観で目を引きます。

ソニーシティ大崎

点在していた研究開発部門とホームエンタテインメント事業本部全体が集結し、5000人が入居する。

注目は、世界初の「バイオスキン」システム。気化熱を利用して、都市部で問題になっているヒートアイランド現象を抑える試みだ。

一見、ベランダの手すりのようにも見えるビル東側壁面に張り巡らされた70×110ミリのテラコッタ製の筒(ルーバー)の中には、絶えず水が流れていて、この水がルーバーからしみ出た際に周囲の熱を奪う”気化熱”を利用し、温度を下げる仕組み。周囲の気温は2℃、ルーバー自体は10℃下がるという。

触ると冷えているのがわかる

中を通る水は雨水を利用。屋上から地下タンクに送られた雨水をポンプで押し上げ、壁面を覆うルーバー内で循環させる。

この他にも、省エネの工夫は至る所に施されている。

1.ビル南面に太陽光パネルを設置
太陽光パネルで発電された電気を地下の大容量蓄電池(ナトリウム・硫黄電池)に蓄える。夜間にエネルギーを貯め、昼間の電力使用量を約3分の2に抑えられる。

2.太陽熱パネルを屋上に設置
屋上に設置された太陽熱パネルのチューブに水を通して給湯用のお湯を沸かす。

太陽熱パネル

3.LED照明
ガラス窓を多く採用して室内を明るくすることで、LED照明を数多く採用した。

4.「自然の森」をコンセプトとした緑化空間
建物周辺には「自然の森」をコンセプトとした緑化空間が広がり、ヒートアイランド抑制に一役買っている。

今年の夏はソニー周辺が涼しいなんてこともあるかも!?今年の成果を見ながら、海外事業所の省エネシステムを設計する際の参考にするという。(猪鹿倉陽子、有岡三恵)