2006年にムハマド・ユヌス氏(グラミン銀行)がノーベル平和賞を受賞したことで認知が広まりつつある「マイクロファイナンス」。マイクロファイナンスとは途上国の事業主へ小口融資を行うことで起業や事業の拡大を促し、自立を支援する金融サービスだ。融資を受けた人には返済の義務が発生する。
このマイクロファイナンスに、個人がインターネットを介して参加できるサービスがある。米国のNPO、Kiva(キヴァ)は世界各国にある147のマイクロファイナンス機関と連携し、インターネットを通じた「融資」によって途上国の人々を支援している。支援先は61ヶ国、これまでに約234億円の融資を行い、返済率は約98.8%にのぼる。(2012年3月現在)2008年にKiva Japanが発足し、サイトを通じて日本からも一口25ドル(約2500円)から融資ができるようになった。
仕組みはこうだ。Kiva Japanのサイトへアクセスし、起業家検索のページを開くと様々な国の起業家の情報が掲載されている。その中から融資したい相手を探し、「融資する」ボタンを押すとKivaサイト(原文の英語サイト)へジャンプする。そこで融資額や支払い方法、個人情報を入力すると決済完了となる。
Kiva Japanには大学生を中心としたメンバーからなる勉強会「Kiva College」もある。2011年9月に発足し、メンバーは早稲田大学や東洋英和女学院大学、明治大学などの学生10人ほど。マイクロファイナンスに関する勉強会や、大学の授業で講義を行うなどマイクロファイナンスを広める活動を行っている。
メンバーの許仁伯さん(ホ インベツさん 成蹊大学3年)は大学で開発経済学を学んでる。この分野に興味をもったのは、インドの経済学者アマルティア・セン(アジア初のノーベル経済学賞受賞者)の考え方に触れたことがきっかけだった。彼は「貧困の最大の問題は才能の無駄使い(食べることがままならない人は才能を伸ばす努力をすることも難しい、という意味)」という言葉を残しており、その言葉に共感。Kiva Collegeに参加して、マイクロファイナンスに対する興味や知識を仲間と共有でき、持続可能な支援について考えることができるようになったという。
Kiva Collegeの代表・古関謙さんによると「マイクロファイナンスのいいところは融資後のお金の使い道が記録され、明確にわかること」だという。支援先は小売業者が多く、融資されたお金は新しい事業費や、緊急の医療費などに使われる。一方で、返済期間が短いため大口融資がしにくいという点が課題だ。
相澤なつみさんは「Kivaは市場経済を通じて途上国の支援をするという新しいカタチの支援。これからも注目して関わっていきたい」と期待を込めて語った。
Kiva Collegeでは現在、スタディツアーも企画中だ。随時メンバーを募集している(社会人も参加可能)。(オルタナS特派員=猪鹿倉 陽子)
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