武蔵野美術大学出身のフリーディレクター・ヨシモトリョウさん(24)が、金沢大学にて被災地ドキュメンタリー映画『手のなかの武器』上映会並びに座談会を開催する。企画運営は、Volunteer Japan(以下VJ)金沢の2代目代表・鶴田星子さん(金沢大学人間社会学域国際学類4年)。北陸地方での上映会は今回が初めて。

公式サイトより。今回で上映は12回目。

『手のなかの武器』は、ヨシモトさん自身が監督、撮影、編集を行なったドキュメンタリー映画である。東日本大震災直後の4月に初めて岩手県陸前高田市へ赴き、以後複数回、宮城県の牡鹿半島や亘理町、石巻市、そして福島県の新地町で、自らボランティア活動を行ってきた。その活動を通して、ボランティアで来ている人々の様子や、ボランティアと現地の人びとそれぞれが抱く想いに迫った作品だ。

これまでに渋谷UPLINKを封切りに、首都圏の大学を中心として上映会を行なっており、その上映回数は12回に及ぶ(記事執筆現在)。上映会と併せて、上映先各地で復興支援団体メンバーとトークセッションを交えることも多い。

「手のなかの武器」本編より。ボランティアについて語る現地の方


VJ金沢は、東京に拠点を置くVJの活動に賛同した金沢の学生が、震災後の4月に発足させた団体である。主な活動は3つである。「VJ新聞」や「ボランティア報告リレーブログ」といった情報発信、ボランティア報告会やフリーマケットなどのイベント運営、そして、不要品を回収し、換金したお金で購入したおもちゃを被災地の子どもに贈る「子供の笑顔プロジェクト」である。

今回の上映にいたったきっかけは、「『色んなかたちで復興支援ができるのだ』ということを、金沢の人に知ってもらいたかったから」と語る鶴田さん。鶴田さん自身、VJ金沢で活動していて『被災地には行けないけど何かしたい』と聞かれることが多いという。

映画を撮ることも含め、劇中には様々な形で復興支援に携わる人が登場する。「彼ら・彼女らの働きから、観た人が『何か』を見つけられるきっかけになったら、と思い、今回ヨシモトさんに上映会開催のお願いをしました」と話す。

被災地の現状は刻一刻と変化しており、ボランティアのあり方も変化している。どのように被災地と関わっていくべきなのか、そのようなことについても参加者と意見を交わしていきたいという。

もともと海外ボランティアに関心があった鶴田さん。インド留学から帰国した2ヶ月後に震災が起こり、「まずは日本のために何かしよう」と思ったのだと言う。VJ金沢として「学生にできること」を考えるものの限界を感じ始めていたとき、金沢のNPO法人や行政を通じて、金沢在住の被災者と交流するようになった。

「学生だとそういう情報が手に入らなくて。そもそも金沢に被災者の方がそんなにいらっしゃることを知らなかったんですよ。社会人には、企画力や資金力がある。学生には、その企画で動く時間がある。社会人と学生が協力し合うようになれば面白いです」。

学生と社会人がそれぞれの立場を生かし、それぞれができることを持ち寄る。決して無理のない支援のかたちが、自然にできあがっている。

今春から社会人になる鶴田さん。「やっぱり人と関わるのが楽しいので、東北でも金沢でも、被災地の方と交流できる機会を増やしていきたいと思っています」と語ってくれた。

上映会は関東圏でも随時開催中である。(オルタナS編集部員=佐谷圭)


●イベント概要
『3.11を、考える。~映画「手のなかの武器」を観て~』
 日時 |10月14日(日)13:00~16:30(予定)
 場所 |金沢大学サテライト・プラザ(バス停「武蔵ヶ辻」より徒歩5分)
 参加料|無料(※会場にて上映会開催料の募金箱設置)

 タイムスケジュール|13:10~14:20 映画上映会
           14:30~15:30 ワールドカフェ
           15:40~16:20 座談会

詳細は、Volunteer Japan の公式ウェブサイトを参照のこと。



●被災地支援ドキュメンタリー映画「手のなかの武器」 予告編



被災地支援ドキュメンタリー「手のなかの武器」公式ウェブサイト

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