昨今、日本でも耳にすることが多くなってきた「LGBT」という言葉。あなたは聞いたことがあるだろうか。

「LGBT」とは「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」の総称で同性愛者や性同一性障がい者などを指す。

「自分の周りにはなかなかいないけどなあ」とよく言われるが、実は日本の人口の約5%、つまり左利きの人と同じくらいの割合でLGBTはいると言われているのだ。

そんなLGBTに関し、先進国の一つであると言われているのがアメリカ。LGBT文化やLGBTへの支援の現状を知りたいと、バックパック一つでアメリカを巡ってみることにした———。(オルタナS編集部員=藥師実芳)




第一都市目は、アメリカの中でも屈指のLGBTタウンと言われているロサンゼルス。

一番驚いたことは、徒歩圏内に5つもLGBTのセンターがあることだ。(ちなみに日本には一つもない)ハリウッドの街中で巨大なレインボーフラッグをなびかせているのが、5つの内でも中心的役割を果たしているLos Angles Gay& Lesbian Centerである。レインボーフラッグとは、6色からなる旗で、LGBTの象徴である。

Los Angles Gay& Lesbian Centerのレインボーフラッグ


今回は12~24歳のLGBTユースが毎週1度、夜に集まり、無料で夕食会を開催している団体の会に参加させてもらった。

20人ほどのLGBTユースと夕食を食べながら談話をした。
「居場所があるのはいいことだ。ここに初めて来たのは1年前だけど、自己肯定できるようになったよ。いつかは僕みたいなLGBTユースの子を支援できたらと思っている」

LGBTユース専門のセンターでは週5日、無料のアクティビティが開かれており、彼らの心の拠り所となっているそうだ。

まだまだ孤立しがちである日本のLGBTユースに、このような支援が広がることを願う。



さて、ロスと言えばWest HollywoodがLGBTタウンとして有名である。通りに入るとお店の看板はもちろん、なんと横断歩道までがレインボーであることに驚いた。



そして意気揚々とThe Best Gay Bar in the Worldで一位にも輝いたThe Abbeyへ。



平日にも関わらず超満員の店内はただただおしゃれの一言。そして、有名店だからこそ多くのハリウッドセレブもよく来店するのだとか。僕が訪れたこの日も人気ドラマの主役が来店しており、人生初のパパラッチを体験した。



こんな風に日本のLGBTタウンも、LGBTでない人でも気軽に遊びに来れる場所になったら素敵だなあ、と思う。

LGBTに対し支援が整い認知も広がっているロサンゼルス。しかし、「認知」と「受け入れ合い」の間にまだ壁があることも多々感じた。

食事会の席で楽しそうに友人たちと話すLGBTユースの会話の端々に混じる現状が、胸を打った。

「ここで作ったものを家に持って帰れないよ。家族にどこで作ったの?って聞かれたら答えられないから」

「学校でカミングアウトするのは難しい。いじめられることを想定している。そして一度ゲイであることを伝えたら二度と後戻りはできないから、怖い」

支援と認知は広がりながらも、理解がまだ追いつかない現状がある。きらびやかな文化でありながらも、自死対策に徹底的に取り組まないといけない現状がある。それがロサンゼルスだ。その非対称性を感じながら、次の目的地サンフランシスコに向かう。