岩手県陸前高田市広田町で活動するNPO法人SETは10月1日から、地域課題を解決する事業づくりを教える社会起業塾「Change Makers’ College（チェンジメーカーズカレッジ）」を開く。受講者は4カ月間、陸前高田市に住みながら、「まちづくり」や「社会起業」について学ぶ。対象は大学3年生から若手社会人。定員は7人。（オルタナS編集長＝池田 真隆）
同団体は東日本大震災を機に、都内の大学生で立ち上げた。震災発生時には、復興支援をメインに行っており、現在は首都圏の大学生を広田町に呼び込み、地域活性化を軸に活動を行っている。
現在、ボランティアも含めるとメンバー は130人程いて、平均年齢は約23歳だ。広田町の人口は3000人弱で、その内5割が65歳以上。祖父母と孫くらい年が離れていることで、同地を訪れた大学生にとっては、「第2のふるさと」になっている。
東北とは縁もゆかりもなかったが、立ち上げメンバーの一人である三井俊介さんが2012年3月に法政大学を卒業後、単身で広田町に移住した。その後、毎年移住者が増え、5年で10人が移った。
チェンジメーカーズカレッジは、10月から4カ月間、毎週２回広田町内で開催する。講義では、「社会起業」や「まちづくり」などをテーマに行う。講師はSETのメンバーが務める。
近隣市町村に住みながら通学する場合は12万5280円。近隣市町村以外から受講する場合は25 万4880円。＊近隣市町村以外から受講する場合は長期滞在できる人に限る。長期滞在希望者には滞在場所の提供を行なっている。(受講料に含まれる)
SETにはどのような若者がいるのか。広田町で活動する若者たちを紹介する。
名前) 片山 悠
年齢) 22歳
出身地) 東京
活動に参加したきっかけ)
元々、ボランティア活動、インターンを海外でやっていました。その経験からもっとチームでやることと地域の人と一緒にやることを両立させながらそこにあるものをもっと良くする地域の課題解決をしたい、その場所にある暮らしをもっと素敵なものにしたいという想いで始めました。
関わっている事業内容)
2017年3月までは Change Maker Study Programで、スタッフとして活動していました。半年間かけて、地元の人と近い距離で活動し、もっとコミットメントがある状態で真剣に取り組み、自分がきっかけで、新しい選択肢のきっかけになったらと思っていました。
現在は、写真展プロジェクトという、広田の暮らしや四季の魅力を写真で伝えるプロジェクトで活動しています。広田にある一人ひとりの生活のあたりまえが豊かだということに改めて気づくきっかけになりたいと思って活動しています。
参加者へメッセージ)
広田での暮らしは自分の身の回りにある「生きる」ということを感じさせられる場所です。その「生きる」ということを直に感じてもらえたら嬉しいです。普段暮らしている中では億劫になっていたものが、大切だと気づくことができるはずです。
そして、この場所がやりたいことができる場所でもあります。そのための自分の成長を本気で向き合ってくれる仲間がいるので新しい挑戦に思う存分向き合っていけます。
名前)上田彩果
年齢) 23歳
出身地)東京都町田市
移住したきっかけ）
私自身、広田町に大きく育ててもらいました。この町は人を地域のみんなで育てていくこと、自然と共生することなど、都会では忘れ去られてしまった、日本人に昔から根付いているはずの当たり前が残っていると思います。
そんな広田で私は、正解がないこれからの世の中も生きていける人財を、生きたい生き方に向けて走り続ける子ども達を、この町から輩出したい。田舎だからこその最高の教育を広田町から創りたい、そんな想いで移住してきました。
関わっている事業内容)
陸前高田の中高生と、関東圏の大学生が一緒に「まち」のためになるプロジェクトを企画実行することを通して、地域と自分自身の将来を切り開いていこうという「地域活性化×教育」の事業をしています。
参加者へメッセージ)
最近、人と関わる時、自己紹介で名刺の肩書き、気にしてませんか？それが本当のあなた自身なのか・・・。この町では、人としてのありのままの姿で向き合ってくれる地域の方や自然があります。自分の身一つで手に入れることができる未来があります。ぜひ素っ裸で飛び込んできてください。
名前)渡邉拓也
年齢)22歳
出身地)東京都江東区
移住したきっかけ)
学生時代に広田町で活動をしていくなかで、町のことが自分の中でとても大切なものになりました。東京で就職することを考えた時期もあったのですが、周りが東京で就職するからという理由ではなく、自分がどうしたいかを考えたときに、この町で感じたこと、学んだこと、この町への想いをこれからも大切にしたいと想ったので、移住を決断しました。
関わっている事業内容)
陸前高田全体で行っている民泊事業の広田町地区の民泊の誘致と実施をやっています。主に修学旅行生が来たときの現地のコーディネートや、受入家庭を増やすこと、家庭の受入の回数を増やしてもらうためのアフターケアを主にやっています。
参加者へメッセージ)
この町で、期間ややることは違えど何かをまた創っていく仲間が増えると思うととても楽しみです。こっちのメンバーや町の人は、とても面白い面々なのでそんな人達との広田での日々を楽しみつつ、でも圧倒的に人生に意味のある時間にしてほしいなと思っています。
名前）島山怜
年齢）22歳
出身地）埼玉県熊谷市
活動に参加したきっかけ）
SETに入ったのは大学3年のとき。大学の同級生からSETの事業の一つ、CMSPのスタッフに誘われたのがきっかけです。当時就活を目前に控え、自分のやりたいことは何か。仕事していくとはどういうことか。その答えが出ずに悩んでいたこともあり、「何かが変わるんじゃないか」という思いで足を踏み入れました。
関わっている事業内容）「アトリエ”izm”」というプロジェクトを立ち上げました。これはデザインやアートを学ぶ大学生を町に呼び込み、広田の誇りや景色の美しさを表現するアート作品を制作していくというものです。
漁師さんのような一見芸術とは関係のなさそうな職業の技術を、「目の付け所が面白い！」と思われるような方法で作品に活かしていくことで、町や社会に創造性が生まれるような環境をつくっていきます。
参加者へメッセージ）
Change Makers’ Collegeの魅力は町を遊びつくせるところだとぼくは捉えています。この町に対してアクションをするのであれば、出会う人一人ひとりから学びがあり、様々な職業の方から生き方を教わり、町のどんな場所も自分の遊び場にしていける。
子どもの頃のように自分の好奇心に従って自由奔放にアクションできる、そんな感覚が蘇るのではないかと感じています。この町で生きていく中で、そうした豊かさが自分の中に生まれるのではないでしょうか。
【Change Makers’ College】
平日週 1 回、夜間と不定期の土日での開校
【学費】
《通学の方(近隣市町村など)》 12万5280円/4 ヶ月
《長期滞在の方(近隣市町村以外からの受講) 25 万 4880 円/4 ヶ月 ※市外の方は４ヶ月間、現地に滞在できることが条件になります。
【実施期間】 2017 年 1０月 1 日〜2018 年２月４日 （個別相談あり）
【募集人数】 限定７名 対象１８〜３５歳前後（学歴不問、大学休学生も歓迎）
募集期間：第１期生 ５月下旬〜８月まで(定員に達し次第締め切ります)
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