【1.パネルディスカッション「東日本大震災が教えてくれたこと」】
司会:猪鹿倉陽子(オルタナS編集長)
パネリスト:
辻信一氏(ナマケモノ倶楽部世話人・明治学院大学教授・文化人類学者)
ジャン=ポール・ジョー氏(フランス人・ドキュメンタリー映画監督)
三井俊介さん(法政大学4年・WorldFut共同創設者)
関口詩織さん(国際基督教大学1年・脱原発×STOP浜岡リーダー)
■3.11は扉、古い時代は終わった。
震災直後にSETを立ち上げて被災地の支援活動を行ってきた三井さんは、「東京では出会ってこなかった『人と人との繋がり』が被災地での不便な暮らしの中にはあった。これからは『便利=豊かなのか?』という価値観を見直すそもそもの問いかけが必要だ。」と述べた。脱原発のアクションを起こしている関口さんも「エネルギーだけでなく、自分の身の回りの食べものや着るものなど、生活全体を見つめ直すことが大切になってくる。」という。「3.11は時代の扉、若い人たちが主人公になって、新しい時代を始めるしかない」と辻さんが言うように、震災を機に若者の間で新しい価値観が生まれつつある。
■原発も代替案も必要ない。大切なのはエネルギー消費の総量を減らすこと。
映画「セヴァンの地球のなおし方」公開にあわせ来日したジャンさんは「原発絶対反対」のはちまきを身につけ、「なぜ原発に反対するかというと、人類は原発を必要としていないから。日本は技術面でも国民性でも自然エネルギーでやっていける国だ。ドイツでは開発を始めてから10年ほどで再生可能エネルギーが全体の20%を占めるに至った。それは日本においても遠い夢ではない。」と語った。辻さんも「原発に反対すると必ず「代替案」を要求されるがそんなものはない。日本で1年間に消費しているエネルギーをすべて原発に換算すると850基分になる。そもそも使いすぎているエネルギーの総量を減らさないといけない。代替案は原発をやめること。」と続けた。関口さんも「原発をたとえいま止めても、大量の核廃棄物がでる。それを未来の世代に残したくない。そのためには原発なしでやっていけるように、これまでの大量消費について私たち自身が考えなければいけない。」と自身の掲げる“卒原発”への思いを語った。
【2.ワールドカフェ】
パネルディスカッションの後は、4人・5人ずつのグループに分かれてワールドカフェを行った。今回は、パネリストやNPOの方も交えて、「東日本大震災であなたは何を見つめましたか?」と「これから震災とどう向き合っていきたいですか」の2つのテーマで意見交換がなされた。参加者からは「一人一人が動くことの大切さを感じた」「まだ、自分に何ができるのか具体的に見えてはいないが、考え始めるきっかけになった」などの感想が聞かれた。
【3.ボランティアマッチング】
イベントの最後には被災地支援を行っている6つの団体がブースにわかれてボランティア説明会を行った。参加者には被災地でのボランティアを考えている若者が多く、ブースを回り真剣に説明を聞いて回っていた。参加した団体からは、「普段は運営の業務で手一杯だが、こうして若者の生の声を聞けて良かった。」という声や、「これだけたくさんの人が被災地支援に関心を持っていることを心強く思う。」などの 声が聞かれた。依然として、被災地で人手は不足している。今年の夏休みは関東圏での節電も兼ねて、被災地支援のボランティアに行くのはどうだろう。
参加団体
・NPO法人日本財団学生ボランティアセンターGgakubo
・NPO法人日本エコツーリズムセンターRQ市民災害救援センター
・神奈川災害ボランティアネットワーク
・ふらっとーほく
・トモノテ
・NPO法人オンザロード災害支援対策本部