津波被害を受けた宮城県石巻に、地域の人びとが家具の作り方を習得できる公共施設がある。「石巻工房」である。2011年6月に都内に住むデザイナーら6人によって立ち上げられた。

石巻工房の様子


これまでに、デザイナーによる家具作りワークショップを開催し、老若男女問わず参加している。この工房で製造した家具はオンラインで販売もしている。「石巻工房ブランド」として地域の方が制作を行うことで収入が入る仕組みを作り雇用創出を目指す。

2011年11月には、米国ハーマンミラー社との恊働プロジェクトも実施した。世界各国のハーマンミラーより選ばれた家具職人、デザイナーを含むボランティア12人が2週間にわたり、石巻に滞在し、仮設住宅や学校などで各種ワークショップを行った。地域住民と共に縁台120台、収納ボックス110台 、スツール220台 、コミュニティベンチ 25台を制作した。

石巻工房の工房長である千葉隆博さんの作業を見る子どもたち


コミュニティの活性化にも貢献した。2011年の7月には東北有数の祭り「川開き」に合わせて「石巻2.0」が主催したイベントに連動し、石巻工房のメンバーがバーを修理改装、「復興バー」として現在も営業を続けている。そして、野外映画上映会などで使われるベンチ40数台を石巻工業高校建築部の生徒たちと製作。射的台や献花台なども製作した。ベンチは祭り後も街中に置かれて使われている。

今年7月28日29日に、デザイナーを呼んだワークショップを開催する予定である。石巻工房代表の芦沢啓治さんは「今後は工具や道具を増やし、地域の方にとってのコミュニケーションの拠点とし、復興する上で必要な支援をしていきたいと思っている」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)


石巻工房