今月10日、「第3回子どものためのジャズコンサート古野光昭フルノーツwith 寺井尚子」が六本木ヒルズアリーナで行われた。プロと子供たちとの共演コンサートの他、企業と非営利団体の協働ブースが出店し、イベントには親子1000人が集まった。

東京都港区立南山小学校の生徒との共演

今回のイベントは、普段なかなかジャズに触れることのない子供たちに一流のプレーヤーの演奏を楽しんでもらおうとNPO法人KidsFunが企画したもの。ゲストにはヴァイオリニストの寺井尚子さんら著名なジャズミュージシャンが出演した。

また、企業やNPOの活動を子どもに知ってもらおうと、企業と非営利団体がコラボブースを出店した。

例えば、株式会社47PLANNING(ヨンナナプランニング)は「食べる47都道府県」というコンセプトのもと、食を通じて日本全国の魅力を発信している。いわき市出身で代表取締役社長の鈴木賢治さんが、震災以前からいわき市を中心にはじめた地域活性化ビジネスだ。

ブースでは、東北支援のコメバーガーを提供。いわき市の名産品を活用して開発し、バランスや手軽さにも配慮した商品だ。

キッチンカーでバーガーを提供

 

パートナーの一般社団法人MAKOTOは、被災地の起業家支援を行っている。資金調達方法だけでなく、事業計画、販路の確保などを「コンサル」ではなく「同士」としてサポートしている。会場では、MAKOTOの代表理事竹井智宏さんを中心に、MAKOTOを支援するアクセンチュアの社員もボランティアとして参加し、活気溢れるブースとなった。なお、竹井さんは11月25日に開かれるTEDxTohokuにも出演予定。

コンピューター関連企業の日本IBMは、米IBMが独自に開発した「TryScience」という教育プログラムを提供。

実は子供の科学・理科離れが世界規模で進んでおり、IBMではIT企業としてこうした問題の歯止めに取り組んでいる。

今回のイベントでは2つのキーワードを掲げている。

発電できる手押し車とキックボード

1つはグローバル。プログラムは基本的には日本語でのレクチャーだが、外国籍の社員も参加し、英語でも行った。英語の回は外国籍の子供も参加できる様にという配慮だったが、日本人の子供も参加し、グローバルな交流がなされた。

2つめは、科学。そもそものコンセプトだ。
この日のプログラムは、ストローと糸をガイドにして風船ロケットをより遠くへ飛ばすというものだ。子供達は上手く飛ばないと、何が悪かったのかを考え、トライ&エラーを繰り返し、より良いものを創り上げる過程を学んでいた。

また、併設して出展したLinkWattは、IBM、SONY等のエンジニアやデザイナー、コンサルタントが集まる有志団体。インドなど、笑顔に満ちあふれているが、光のない未電化地域の人びとの「笑顔を光に変える」ために、現地で使われる手押し車やリヤカーなどで発電できるプロダクトを開発した。ブースでも、遊び心のあるプロダクトにふれた子供たちから溢れる笑顔が電気となる様子を目の当たりにできた。

伊藤忠商事MOTTAINAIキャンペーンとのコラボブースを出店。

「MOTTAINAI」とは、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが、日本語の「もったいない」を世界共通語「MOTTAINAI」として広めたキャンペーンだ。

ブースでは、再生ポリエステルを使ったふろしきに子供たちが思い思いのスタンプを押して行き、オリジナルのふろしきを作った。
また、参加費の200円は植林活動『グリーンベルト運動』に寄付される。伊藤忠商事では、こうした次世代教育に力を入れている。

 

30分間夢中でふろしきにスタンプを押す子供達

社会の課題を解決する非営利団体は現場力に長けている。根本的な課題は何なのか、人びとはどんな暮らしをしているのか。現場の状況がわからなければ必要とされていることを提供できず、「MOTTAINAI」支援になりかねない。そのことは東日本大震災を通じて、自分ごととして日本人が感じたことではないだろうか。

一方で、資金力、発進力に長けた企業は、どこに何をしたら良いかわからず、自分たちのノウハウを持て余している。

企業と非営利団体が出逢えば、社会がより良くなって行くスピードが加速してくのではないだろうか。

しかしまだまだ両者が出逢えていないのが現状だ。そのため、両者を繋ぐ中間支援組織やサービスも増えて来ている。こうしたイベントも、新たな出逢いのきっかけづくりになるのではないだろうか。

(オルタナS編集部員=山田衣音子、写真・オルタナS副編集長=大下ショヘル)