「若者一人一人が未来をつくる当事者であるという意識を喚起し、共有する場をつくる」をコンセプトにしたイベント、「WorldShift’12 Vol.2」が10日、京都で開催された。
ゲストによる講演会、参加者も一体となって行うワークショップが行われた。講演会で登壇したのは、ジャーナリストの佐藤慧さんと、ウェブマガジンgreenz.jp(グリーンズ)編集長の兼松佳宏さんだ。
「愛」「ソーシャルデザイン」「絶望と希望」といったキーワードをもとに話し合われた。対話型ワークショップでは、「身近なところから考える未来」をテーマに実施された。
■「I」→「愛」
佐藤慧さんは、東日本大震災での被災地の様子を収録した『ファインダー越しの3.11(原書房)』の著者だ。「写真」と「言葉」というツールを使って、フォトジャーナリストとしてアフリカを中心に活動している。
「絶望と希望」といった事柄に関して、ザンビアでの活動・震災での経験などを挙げながら語った。
フォトジャーナリストという職業を通して、たくさんの絶望やどうしようもない事実を知ったのだという。「ただ事実を伝えるだけ」ではなく、「絶望を前にしても人は前に進んでいけることをも伝える」ということを目標に活動しているそうだ。
今回の講演で特に印象的だったのがこの言葉。
「どんなに苦しくても、どんなに辛くても、痛みや悲しみが深ければ深いほど、他の人を愛することができる」
苦しさや悲しさというのは、単なるマイナス要素なのではない。それだけの痛みを知っているからこそ、愛情を深く持ち、他人を、自分を、想うことができるのではないのか。
■「変える」→「つくる」
兼松佳宏さんは、「greenz.jp」の編集長兼勉強家。現在、「できるだけサンタでいたい」という想いのもと活動している。
兼松さんは、「ソーシャルデザイン」というテーマで、自らが編集長を務めるウェブマガジンgreenz.jpでの活動や、世の中を面白く、持続可能にしていく仕組みについて語った。
記事や情報を発信する立場において、兼松さんが最も大切にしていることは、記事の文章が「思いやりに溢れているものである」こと。
兼松さん曰く、「思いやりに溢れた記事を書くためには、ラブレターを書くように文章を書かなければならない」のだそうだ。
変わり続ける世の中をよりよくするための第一歩として、「相手を想い、気持ちを伝えていくこと」が大切だという。愛を持って「他人ごと」を「自分ごと」にしていく。そうすることで、自分にも社会にも少しずつ変化が生まれていくのではないだろうか。
■対話型ワークショップ
講演後、登壇者・参加者・スタッフの全員が参加して「対話型ワークショップ」が行われた。
一人一人が抱える問題意識や、「もっとこうなったらいいのに」と思うことをそれぞれの「マイ・プロジェクト」とする。
個々の「マイ・プロジェクト」が実現に近づくように、皆で額を突き付けアイディアや意見を出し合う、「対、人」を重視したワークショップであった。
「家族を大切にするためには」、「河童を釣りたい」、「通学中の電車時間をもっと有効に使いたい」などといったさまざまな「マイ・プロジェクト」が挙げられた。
このワークショップを行ったことで「この先の人生で取り組んでいきたいことが見つかった」と笑顔で語る参加者も見られた。
今回、すべてのテーマに共通していたのが「愛」。
愛と口にするとなんだかくすぐったくもなるが、あまりに漠然としすぎていて訳が分からなくなったりもする。しかし、一番身近にあるものである。
今の世の中、私たちは「愛」を忘れかけてはいないだろうか。傷つくことを恐れ、苦しむことを恐れ、見て見ぬふりをする社会。完全に他者の苦しみに寄り添うことはできない。
しかし、「わかりたい」と「寄り添いたい」と努力することはできる。口にする、綴る言葉ひとつにしても「愛」を込めたら、社会はもっとあたたかいものになるのではないのだろうかと考える時間であった。(オルタナS関西支局特派員=中川なつみ)
■WorldShift’12 Vol.3 予告■
登壇者:
・高田佳岳氏 / LIGHT UP NIPPON発起人
・西條剛央氏 /「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表
開催日:2012年12月8日
時間:11:00~17:00(予定)
場所:株式会社ウエダ本社南ビル地下1F
〒600-8191 京都府京都市下京区五条高倉角堺町21番地
(京都市営地下鉄五条駅より徒歩5分)
チケット料金:
学生 前売り1500円/当日2000円
一般 前売り2500円/当日3000円
参加申し込み:http://worldshift12.web.fc2.com/mail.html
問い合わせ先:worldshift12@gmail.com
イベント情報:
HP: http://worldshift12.web.fc2.com/index.html
Facebook: https://www.facebook.com/events/385426608193739/
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