英国にある独立推進機関「フェアトレード財団」は、2011年6月、熊本市を世界で1000番目、アジアでは初のフェアトレードシティと認定した。
なぜ、熊本市がフェアトレードシティになったのか。「NGOファアトレードくまもと」代表の明石祥子さんが、20年前にピープル・ツリーのサフィア・ミニーさんからフェアトレードについて話を聞いたのがきっかけだった。
欧米では、60年代からフェアトレード運動が始まっていたが、20年前の日本では、フェアトレードについて、一般的な理解を得るのも難しい状況だった。現在では、フェアトレードに対する認識と信頼度が高まり、品質の向上に取り組むプロジェクトも増え、商品を安心して購入できるようになった。
フェアトレードシティとは、自治体議会が、フェアトレードシティを宣言する決議を行う。フェアトレード商品の入手が容易であること、企業や組織の積極的な支援、地域の理解と協力の獲得、継続的なフェアトレード推進活動を行っていることを数値化し認定される。
「NGOフェアトレードくまもと」では、今まで通算100回のエシカルファッションショーを開催し、熊本市長もモデルとして参加している。実行委員の平均年齢は20代で、立候補制で年間50以上のイベントを行っている。ブータンでのオーガニックコットン支援など、直接支援のプランもあり、熊本市は貿易を担当する団体、販売するショップ、購入する市民と企業が輪になっている。
明石さんは、大きな夢だった1000番目のフェアトレードシティの市民になり、ロンドンなど他のフェアトレードシティ(タウン)や、バングラディッシュやフィリピンなどの途上国から、お祝いメッセージが届き、世界と繋がっていることを改めて実感したそうだ。
フェアトレードシティ(タウン)は、フェアトレード運動が地域の日常に根づいていく活動だ。途上国の貧困削減や環境保護だけでなく、熊本県内・ 九州・国内、色んな地域との関係を強めていき、地域づくりへ貢献していきたい、この流れが東日本の復興に対して具体的な「国内のフェアトレード」に結びつくような運動になれば、という願いもある。(オルタナS特派員=奥田景子)