日本唯一のLGBT賞である「Tokyo SuperStar Awards」受賞式が1日、行われた。

「Tokyo SuperStar Awards」はレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどの性的少数者であるLGBTのカルチャー・コミュニティの発展に貢献した人や団体に贈られる賞である。2010年に発足し、今年で三年目を迎える。

授賞式の様子



スペシャルゲストの野宮真貴さんの「東京は夜の7時」で華やかに祭典がスタートした。続いては「幸せ」をテーマに4人のLGBTがプレゼンテーションを行う「LGBTトーク」が行われた。

印象的だったのは、性同一性障がいであることをカミングアウトした著書・ダブルハッピネスでも有名な杉山文野さんによるプレゼンテーションだ。

全世界を旅した彼は各国どこに行っても「ミスターかミセスかマダムかマドモワゼルかムッシュかマダムか」と問われ続けたという。それでも時間が経つにつれ各地で受け入れられていった彼だが、最後まで彼を受け入れられない存在に気づいたという。それは、彼自身だ。

そんな中、ホストマザーに言われた「you have to live with yourself(あなたはあなたと生きていかなければならない)」という言葉が、自身で自身を受容するきっかけとなったという。

「幸せは半分水の入ったコップに似ている」と彼は例える。「半分しか入っていないと思うのか、半分も入っていると思うかは自分次第である」と。

そしていよいよ受賞式。MCには毎年恒例女装家・ブルボンヌさんと性同一性障がいをカミングアウトした佐藤かよさん。以下受賞者の一部を紹介する。

海外賞:バラク・オバマ大統領
今年5月、歴代米大統領として初めて同性婚指示をした。2012年の大統領選でもこの同性婚のイシューは大きな争点の一つに。

メディア賞:週刊東洋経済・週刊ダイヤモンド
今年7月、LGBT市場特集が経済2誌により同時刊行された。国内市場5.7兆円とも言われるLGBTの消費市場であるLGBT市場。今後の展開が注目されている。

カルチャー賞:RENT
LGBTやHIV/エイズをリアルに描いたミュージカル、RENT。11月にはLGBT Pride Weekとして公演後に様々なLGBTとコラボした企画が行われた。
(他受賞者詳細はこちら→http://www.tokyosuperstarawards.com



授賞式では、アルファロメオ賞を受賞した中村中さんによる、性同一性障がいである自身の想いを歌った「友達の詩」の生演奏や、カルチャー賞を受賞したRENTのキャスト全員での「Seasons of Love」の大合唱が行われた。

最も印象的だったのはコミュニティ賞をカップルで受賞した東小雪さん・ひろこさんのスピーチ。3月、東京ディズニーリゾートにて同性カップル同士でも結婚式を開催できることをTDRから公式見解として引き出すことで、国内外のメディアで大きな話題を生んだ二人である。

「この賞は二人でもらったものではなく、コミュニティの皆さんの支えによって受賞したもの」と締めくくった。

この受賞式で賞を受けた人々はもちろん、この一年、そして、その前の何十年ものLGBTの可視化やコミュニティの発展には多くの人々の想いと努力が込められている。その全ての人々に賞賛と労いが届くことに加えて、来年も更に社会とLGBTをつなぐ架け橋が増えることを願う。(オルタナS編集部員=藥師美芳)