今年3月が化粧品の動物実験を全廃するターニングポイントとなりそうだ。EU域内では、2004年から一部を除外し禁止されていた動物実験が、3月11日に完全禁止となる方向で動き、国内最大手の資生堂も3月に外部への委託も含めて動物実験を全廃する予定だ。

この勢いに合わせ、複数の動物保護団体も結集している。ザ・ボディショップやラッシュジャパンなどの化粧品メーカーも賛同し、3月10日にシンポジウムを都内で開催する。消費者に「美しさに犠牲はいらない」と訴える。


日本には全ての化粧品に動物実験が義務づけられているわけではない。化粧品の安全性保証は、企業が自己責任で行うので承認申請の仕組みはないのだ。しかし、新しく開発したタール色素、紫外線防止剤、防腐剤を配合するときや、配合量が規制されている成分の量を増やしたいときには、動物実験を行わなければいけない決まりとなっている。

主な動物実験としては、「眼刺激性試験」、「皮膚感作性試験」、「単回投与毒性試験」などがある。

ウサギを利用するのは、鳴かないから

ウサギの片方の眼に試験物質を点眼し、その刺激を観察する眼刺激性試験。眼を手足でこすらないように保定器で拘束された状態で96時間の経過をみるという。ウサギが激痛を感じている場合は、直ちに殺処分される。

ウサギをマウスとして使用する理由は、2つある。涙腺が細く、涙が出にくい特性から試験物質を角膜上に保持しやすいことと、激痛による鳴き声をあげないためだ。

生死に関わらず解剖

単回投与毒性試験は化学物質の毒性をはかるために行われる。あらかじめ断食させておいた動物の口へ強制的に試験物質を投与する。中毒症状を2週間ほど観察し、実験後は生死に関わらず、全て解剖される。

この他にも、背中に試験物質を注射して、引き起こされる炎症を観察する皮膚感作性試験や、皮膚へ紫外線照射を数日間繰り返す光感作用試験もある。

イギリス、ドイツ、オランダなどのEU域内は倫理的に反しているとして動物実験を禁止し、動物実験で製造された化粧品の輸入も禁止している。これまで、一部の動物実験が適用除外とされていたが3月11日には、完全禁止となることが予定されている。

一方、中国に代表されるように、安全な化粧品を作るために動物実験はやむを得ないとして義務づける国もある。動物実験の禁止を賛同している日本の化粧品メーカーも、動物実験を要求している国で販売する場合は、実験しなければいけない。

現在では、日本動物実験代替法検証センター(JaCVAM)を中心に、培養したヒト細胞やコンピューター技術を用いた予測方法などを用いての代替手法を取る動きもある。

3月に行う、美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会の亀倉弘美委員長は、「普段は別々に活動している動物保護団体が一致団結して不退転の覚悟で臨んでいる。これを機に、世の中から動物実験を全廃させたい」と意気込む。(オルタナS副編集長=池田真隆)


美しさに犠牲はいらないシンポジウム

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