福島市の南東に位置する花見山。春になると色とりどりの花が山一帯に咲き乱れ、その美しさから福島でも有数の観光地となっています。

 

もともと花見山は観光地として作られたものではなく、野菜や花を育てる約20世帯程の園芸農家の畑で成り立っています。春、花見山周辺一帯に花が咲く風景がとても美しかったことから一部が所有者により一般開放されると、次第に観光地となっていき、2010年には32万人もの観光客が訪れるようになりました。

 

NPO花見山を守る会では、観光客向けの足湯を設置するなど、花見山を観光地としてより良いものにしていく活動をしています。

そして、その活動と同時に、もともと花見山にある農家の畑を守るために、観光客に対して解放地区以外の畑への無断立ち入りの禁止やゴミの持ち帰りを呼びかける等のマナーについての看板を設置する活動を行い、観光地として、そして地元の農家の仕事場として、花見山を守る活動を行っています。

 

また、一昨年の東日本大震災以降、原発事故や津波の被害により花見山の位置する福島市にもたくさんの方が避難してきました。

その中には仕事を失った人や将来への不安から引きこもりがちになってしまった高齢者の方も多く、そのような方々に農作業を手伝ってもらうことで花見山は雇用の場、そして生きがいを生む場所にもなっています。

 

NPO花見山を守る会の高橋さんは、「福島は放射能の問題や津波、風評被害などの影響で、今も不安を抱えている人が多くいる。県外の人が来てくれることも応援になるので、これからもできることで福島の応援をしていってくれたら嬉しい」と話しています。

 

昨年は花の養成のために公園への入園ができませんでしたが、今年は除染作業も進み、新しい散歩道も増え、さらに魅力的な花見山が楽しめるそう。花見山が見頃を迎える4月初旬~ゴールデンウィーク頃、復興へ向けた花が咲く福島に、足を運んでみてはいかがでしょうか。 (オルタナS編集部=板里彩乃)

 

<花見山に桜の植樹をしてみませんか?>

NPO花見山を守る会では、避難者の雇用創出と花見山地区の地域貢献を目的とした植樹活動を行っており、花見山に復興への想いをこめて、名前プレートと一緒に桜の木を植えることができます。 詳細は こちら

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