——なぜこれほど大量のLNGが日本へ輸出されるのでしょうか。

山田:1960年代、日本では公害問題が大きく取り沙汰されるなか、より環境に優しいエネルギーが求められていました。このころ、ブルネイで大規模なガス田の開発が検討されており、三菱商事がこのLNGプロジェクトに参画しました。

天然ガスをLNGとして輸出する場合、天然ガスを約-162℃の超低温で液化し体積を約600分の一にした上で、タンカーで輸送します。

しかし液化するためのプラント建設や専用タンカーの建造には巨額の資金が必要です。したがって、ブルネイでのLNG輸出プロジェクトの実現には、長期にわたる販売先を確保することが必要だったわけですが、そこに手をあげたのが東京電力、東京ガス、大阪ガスの3社でした。

3社は1972年、他国に先駆けて共同でブルネイ産LNGを長期契約・大規模導入しました。日本企業が先手を挙げたことがきっかけで、現在に至るまで日本とブルネイはLNGにおいて重要なパートナーとなっています。

——日本とブルネイは資源においてこんなにも関わりが深いのですね。資源といえば、枯渇や関連施設の建設に伴う環境への影響といった問題が気になるのですが、ブルネイでは何か環境を保護する取り組みはあるのでしょうか。

山田:ブルネイは自然に恵まれています。国土開発率は約15%で、国土の多くは手つかずの原生熱帯雨林です。その要因として、政府が原生林伐採による木材の輸出を禁止していたり、国立公園として積極的に保護していたりすることがあげられます。

自然資源のみならずエネルギー資源にも恵まれた国ではあるものの、最近では電力料金を値上げすることにより、国民の省エネに対する意識を高めるための施策が取られたり、ガス火力発電所の高効率化が検討されたり、環境問題や持続的発展に対する意識も高まってきています。若年層への環境問題に関する教育にも力を入れているという話を良く耳にします。

首都バンダルスリブガワンにあるジャミヤシル・ハサニル・ボルキア・モスク


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