よくランチに通うお気に入りのお店がまかないを支給してくれたら良いと思ったことはないだろうか?

創業1年もたたないとあるITベンチャーは、六本木・渋谷・新宿・中野にある飲食店を社食として利用している。まかないを無料で食べられるわけだが、契約時に掛けたコストは実質0円だ。お金ではなく、ウェブサイト制作などのスキルと引き換えにこうした関係を築いている。

ランチをするタイマーズのメンバー

その会社は、恋人たちが2人だけで楽しむカップル専用のクローズドSNSアプリ「Pairy(ペアリー)」を展開するTIMERS(タイマーズ、東京・港)である。2012年5月に博報堂、DeNA出身の3人の若者たちで創業、平均年齢は26歳だ。

昨年11月、同社がITスキルを提供する代わりに、社食としてまかないを作ってもらう「まかないプロジェクト」をリリースした。十数店舗から問い合わせがあり、今月15日から、都内に複数の飲食店舗を展開するDinner Rush(ディナーラッシュ)と具体的にプロジェクトを進める予定だ。

タイマーズが社食として利用する飲食店(シャムロック 六本木店)

契約期間は半年間で、ウェブサイトの制作を条件に、まかないの回数券が社員1人当たり30枚ずつ毎月発行される。それらの回数券と引換えに、指定されたランチメニューやディナーメニュー、コーヒーやビールなどが提供される仕組みだ。

同サービスを立ち上げた背景には、ITベンチャ−のような企業と地域コミュニティとの新しい接点形成という視点や、物々交換という古くから残る暖かみのある概念を、現代に適した形で残したいという思いがある。

タイマーズの田和晃一郎COO(26歳)は、「物々交換のような人間らしさを感じられる文化・慣習は、繋がりの力が再認識される時代だからこそあらためて掘り下げてみたいと思った。社員食堂をすぐには持てない中小企業と地域の飲食店を結ぶには、その概念がうまくワークするのではと思った」と話す。

リリース後、十数店舗から依頼が来たことについては、「数値的なメリットや成果ありきでは無く、まず純粋に、この取り組みのコンセプトに面白いと感じていただいた上での応募が多く、非常に嬉しかった。あくまでも、実験的な取り組みという点に合意した上で、お互いがハッピーになるかたちを色々と模索しながら進めていきたい」という。

反応があったのは、国内の飲食店だけではなかった。ベンチャー企業やイギリス在住の日本人などから、「同じ趣旨の取り組みを始めたい」という連絡が来たという。そこで、同様の試みを展開したい企業や個人には、「まかないプロジェクト」のロゴを配布し、誰でもこのサービスを利用できる「誰でもまかないプロジェクト」も8日に立ち上げている。

田和COOは、「企業と地域の店舗の繋がり方は、お互いがハッピーになる形式があるのであれば、東京に限らず、北海道や福岡など他の地域でも十分に成立するはずだ」と話す。

「弊社としては、事業としての取り組みでは無いので、ロゴを配布するくらいが現状である。だが、真似をしてもらうような形であっても、それで企業と地域の新しい有機的な関係が生まれていけば、よりお互いの顔と顔が見える地域コミュニティの形成にも繋がるのでは」と期待する。(オルタナS副編集長=池田真隆)


まかないプロジェクト

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