■偽善的と言われても動き出す

−−原田さんは年に2回、パリのファッションウィークを訪れています。日本と海外を比べて、エシカル浸透度合の違いはありますか。

原田:イギリスでは、言われなくてもやるのが当然という空気がある気がします。エシカルは直訳してしまうと、「倫理的」となり、おしゃれではないイメージを持ってしまいます。なので、あえて、エシカルという言葉を表に出さないのかもしれませんね。

他にも、ドイツや北欧でも、co2削減や環境配慮をして当たり前のような波は起きています。でも、単純に旗振りはできますが、企業がマインドセットしないと、社会を変えるエシカルの波は来ないです。

例えば、それぞれの村では、生産できる産品の量に限界があります。企業の要望に応えられないから、その村とは契約ができなかったという例をいくつも知っています。少ないからいいと思ってくれる時代になってほしいですね。

−−ジャイカ中部なごや地球広場のオフィシャルサポーターとして、途上国には毎年視察に行くそうですね。

原田:途上国を意識することは先進国の未来を支えることにもなります。ある年、ラオスで母子医療の現場を見ました。驚いたのは、子どもを生んだ母親たちが、出産後すぐに病院を退院していくことです。

日本では、出産後は病院でしばらく休み、赤ちゃんのお世話は看護婦さんなどに任せるのですが、ラオスでは違います。地域や親戚の縁が強いので、病院からすぐに出ても、地域全体で赤ちゃんのお世話をしてくれるのです。

ちなみに、ラオスの乳幼児死亡率よりも日本の自殺率の方が遥かに高いのです。社会が発展していくにつれて、つながりを感じる人が減っていったことも影響しています。途上国からは、大事なことを気付かせてもらい、学ぶことがたくさんあります。

−−エシカルの定義はどのような推移をたどっていきますか。

原田:人それぞれ行動も異なりますが、とにかく「思いやり」だと思っています。自分さえよければいいという行動ではなく、作っている人、使う人など関係する全ての人が誰も犠牲になっていないことが大切です。「そんなことは無理だ」「偽善的だ」と言われても、まずは行動しないと何も始まりません。

社会が発展していく中で生まれたひずみがあります。それが原因で苦しんでいる人が一人でも減ればいいと思います。エシカルは、社会を作ってきた大人たちの責任だと思います。子どもたちへ、少しでも良くなった社会を残していけるかが問われています。


原田さんの公式ブログ「エシカルでいきましょ。」

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