生産コスト高く、利益率低い事業を続ける理由 Etrican代表 宇野有実子

エシカルビジネスをする第一のメリットはエコファッションのみに限らず、各種のグリーンムーブメントに乗って今エシカル市場が成長し続けていることです。この傾向は継続する可能性が高いと言われています。

それと同時に、エシカル要素がユニークかつ強力なブランドストーリーを提供し、顧客とのコネクションが深まることです。Etricanもそうですが、エシカルビジネスは通常のビジネスより忠実な顧客ベースを開発できる機会があるように感じます。

その他にも新しい市場なので同類企業間の競争が少ないのも魅力のひとつです。また、メディアは流行や話題性に敏感ですので頻繁なメディア露出も新しいビジネスにとっては有難いメリットです。

その反面、エシカル市場は成長はしていますが、まだまだニッチであることが最大のデメリットでもあります。顧客たちの意識や認識を高めることがビジネスの成長にダイレクトに関係してきます。Etricanも教育機関と提携してエシカルについてレクチャーするなどをマーケティングの一環として行っています。

ニッチであることで、生産コストを高めたり、原料のソーシングが困難であったりもします。例えばEtricanが使用しているGOTS認定のオーガニックコットンはコットンの総世界的な供給の約1％にしか値しません。また、GOTS認定の工場を使用しているので労働者の賃金が保障されている分、生産コストも高くなります。

それにもかかわらず、ほとんどの顧客は商品がエシカルだからと言う理由で余分に多く支払うことを望まないことは各種リサーチで証明済みです。したがってブランドの競争力を維持するためには利益率が主流のブランドよりも低くなることを覚悟する必要があります。

それでも続ける理由は何か、それはやはりエシカルビジネスのポジティブな影響力でしょう。顧客に世界にポジティブな影響を与える機会を提供する、そして、廃棄物汚染、環境破壊、労働者虐待など悩ましいニュースも多いファッション業界の中でエコファッションの存在が社会や環境の進歩に貢献しているということが一番大きいメリットであると感じています。（寄稿・Etrican代表 宇野有実子）


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