太田さんが世界を歩いて感じたのは、「日本には世界を舞台に活躍できる人が圧倒的に不足している」という事実だったという。世界を舞台にするには、当然英語が必須となる。

韓国は日本の人口の半分でありながらも、世界に出ている人数は日本の倍以上だ。太田さんは、「なんで日本人は英語を話せないのか」とよく聞かれたという。本書にも書かれているように、今までは良かったかもしれない。「英語が話せないなかで経済大国となったのは誇るべきことである。しかし、『今まで』と『これから』は違う」と、太田さんは断言する。

ロールモデルの存在

海外で活躍している日本人は多く存在する。スポーツ選手は、その分かりやすい例だろう。しかし、ビジネスの面ではどうだろうか。世界を舞台にビジネスで活躍している日本人の存在を、私たちは知っているのだろうか。

太田さんが世界一周の旅に出た約3年前、ビジネスというフィールドでみたとき、海外で活躍している日本人が誰一人浮かんでこなかったという。実際には存在しているはずなのに、その情報が日本にいる私たちまで届いていないという現実。

その溝を埋めたいと思った太田さんは、世界を旅しながらビジネスマンに会い、それを日本にいる人たちへ情報をシェアするサイト、サムライバックパッカープロジェクトを起ち上げた。同サイトでは、一日に3万PVを超えることもあったという。

また、世界を旅しながらウェブメディアでも連載を持ち、週間ランキングで1位を獲得したこともあった。「世界で活躍する日本人」、「世界を舞台にして働く」というキーワードは、「知りたい情報」として既に確立していたのだ。

太田さんが自ら世界を歩いた先で出逢った日本人たちを、本書でもインタビュー形式で7名紹介している。

「野球選手がメジャーを目指すようになったのも、サッカー選手がヨーロッパを目指すようになったのも、そこに先駆者がいたからだと思う。ビジネスの面でも、世界を舞台に活躍し、楽しく生きている人がいることを知ることで、選択肢も増える」と、太田さんは話す。

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