*この文章は、今年3月に復興支援団体SETが主催した岩手県陸前高田市広田町への現地滞在プログラムに参加した大学1年生の滝口華恵さんが綴ったものです。1週間をかけて広田町住民との交流や現状視察、漁業や農業支援などを行い、参加者自身が広田町で何ができるのか、考え抜きました。若者は復興地で何を感じたのでしょうか。

全体所感としては、このプログラムは今まで生きてきた19年間の中で1番濃く、自分自身がいろいろな面で成長できたものであったと思う。

広田町コミュニティセンターの事務局長に挨拶する上田さん

おおげさに聞こえるかもしれないが、もやもやしていた自分の人生に光が射したような気がしている。一筋の強い光が射したわけではなく、何筋ものかすかな光にぼわぁっと照らされたような感じだ。

私がこのプログラムに参加したきっかけは、今年の冬に高校時代の友達と二人で行ったフランス旅行である。

パリ郊外にあるオンフルールという港町に行ったとき、80歳くらいのフランス人のおばあちゃんに出会った。おばあちゃんは涙目になりながらtsunamiの話をした。その内容は自分には日本にペンパルがいるが、2011/3/11以降、手紙がこなくなったからその友達が幸せに暮らしているか心配だというものである。

自分はフランスに比べたら東北にご近所レベルで近いところに住んでいる日本人なのに、フランスに住んでいるフランス人のほうが自分より東北のこと想っていると気づき、なんだか自分がすごく情けなくなった。

帰国後すぐ、なにか自分にもできることはないかと思い、探したところ、チェンジメーカープログラムを見つけた。そして、帰国翌日に事前説明会に参加した。

正直、その時点では何かにチャレンジするということ以外なにもわからなかった。しかし、ここで参加しなければ自分はなにも変わらないし、オンフルールで出会ったおばあちゃんのことも裏切ってしまう気がして、すぐ参加することを決意した。

行ってみてわかったことは、とにかく7日目に広田町のためになるアクションプランを実行するということ。そのために6日間、広田町を見たり、広田人とお話しさせていただいたり、いろんな経験をし、参加者の7人で話し合い、7日目に実行することを決めるということ。

事前講習会に参加できなかった私は、完全に初対面の人と話し合わなければならなかったため、きつかった。最初は会議も混沌としていて、リーダーもいないし、ほぼ得るものはないまま、会議が終わっていく感じがしていた。

さらに、このプログラムでは、自分自身のGoal,Will,Valueについても考えなければならなかった。始め、それがアクションプランに繋がっているのかわからなかった。

しかし、皆で話し合うなかで広田人の温かさなど広田人の魅力に気づき始めたころ、広田町のためというより広田に住む人のためという対ヒトに論点がシフトした。すると、自分自身のValueとも重なってきたりして、アクションプランとGoal,Will,Valueに繋がりがでてきた。

自分のGoalはもともとグローバルで多角的な視野をもった人間になるということであったが、広田人のことを考えていくうちに、自分のGoalに人の心を動かせる人間になるということが加わった。

それまでは、自分がどう生きたいのか、など自分のことばかり考えていたが、広田で人の温かさに触れ、人との繋がりの大切さを実感したことで、視野が少し広くなった気がする。

あと、7人での会議は、あの時は自分も必死だったので、客観的に見ることができなかったが、今考えると、とてもおもしろい体験をした。Goal,Will,Valueも全然違う初対面の人たちがいきなり自分の本気の想いを全力で形にしようと努力し、仕上げていく。こんな体験はなかなかできないであろう。

今回のプログラムでは、自分も含めたヒトの心という部分をすごく考えた。今まで軽視してきたわけではないが、改めてヒトの心の大切さを知った。この気づきは今後もずっと大切にしていなければならない。

この気づきや繋がりをこれからも大切にして生きていきたい。(寄稿・上田彩果)