ホリエモンこと堀江貴文氏が自然エネルギーに関心を示した。17日、東京青年会議所が開催した持続可能なエネルギーを探るイベント「エネルギー選択時代!!~環境と経済が好循環する社会を目指して~」のパネルディスカッションで話した。

自然エネルギービジネスの可能性について話し合われた

パネルディスカッションに登壇したのは、独立総合研究所の青山千春取締役自然科学部長と、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長、中央大学法科大学院の野村修也教授の3人、モデレーターは、雑誌『オルタナ』の森摂編集長が務めた。当初、堀江氏は客席に座りセッションを聞いていた。しかし、ディスカッションが開始して30分後、森編集長が「せっかくなので、堀江さんも言いたいことがあればぜひ」と促し、急遽パネルディスカッションに参加する形となった。

■自然エネルギーにブレイクスルーは必要ない

壇上に上がった堀江氏は、自然エネルギーに関する見解をこう述べた。「経営者の立場から見ると、エネルギーはコストでしかない。技術革新を起こして、いかにコストを下げられるかが問題。ただ、発電技術に関する革新は膨大な予算がかかり、国の財政状況から考えるとしばらくは起きないだろう。このことを考えると、コストが安いシェールガスが一番有効なのではないか。ロシアから北海道辺りにパイプラインを引くことも面白いのでは」。

この発言に対して、環境エネルギー政策研究所の飯田所長は、「自然エネルギーにブレイクスルーは必要ない。マーケットが拡大していき、自然とコストは下がっていく。この動きは世界が証明している」と話した。

堀江氏は、「けれど、補助金頼みの企業が多すぎる。補助金が止まったら倒産してしまう企業についてはどう考えるのか」と返す。飯田所長は、「事業が回らない企業が倒産していくのは自然のこと。自然淘汰されている。しかし、太陽光事業のマーケットは拡大している」。さらに、インドやイタリアでは、補助金なしで、市場価格で販売している事例も紹介した。

堀江氏は、日本の自然エネルギー買い取り価格の高さにも疑問を示した。「例えばドイツと日本の差はどこにあるのか?」。このテーマでは、さらに二人の議論は盛り上がった。

急遽、檀上に上がった堀江氏

飯田氏は、「半分がパネルの費用、ドイツは中国産が6割か7割。日本は国産」と言うと、「日本も中国産を使えばよいのでは?」と堀江氏。すると、「安くはなるが、建設費用も高い」と飯田氏。すかさず堀江氏は、「何でドイツの建設費用は安い?」、「シンプルな作り方をしている。一方、日本ではしっかりと建設しないと、建物の危険性から銀行がお金を出してくれない」と飯田氏。

「細かいことを言わない金主がいれば実現可能?」と堀江氏が尋ねる。「可能かもしれない。だけど、送電系統の問題もある。ドイツでは、送電会社が負担して、送電系統を拡充している。日本は太陽光発電会社が送電費用を負担しないといけない」と飯田氏。「でも、なんとか問題を突破できそうな気がする。ドイツの例を聞いていると、ビジネスチャンスだと感じる」と堀江氏。

しかし、この話を野村教授は切る。「いくら理想をいっても、現実的にお金に換算して高いと使われない。時間がかかってしまえば、夢物語の扱いとなる。そういう中で、戦略的にいかなければいけない。金の匂いがしないと現実的ではない。発送電が分離されていなければ、送電コストの問題は一向に解決できない」。

けれど、飯田所長は、「この一年間で自然エネルギー関連の企業は急激に増加している。全員で声をあげれば変わるはず」と話す。が、野村教授の姿勢は変わらない。「(飯田所長の)おっしゃることは分かりますが、私は長年、社会の制度を見ていました。はっきり言うと、それは理想的すぎます。多くの人が集まったから、法が変わるということはあまりない」。

野村教授は、「ビジネスとして成立させないと現実的ではない」と考えを示した。「正直に言って、世の中は、特定の人物の利害を実現するためや、既得権を守るための法律でゆがんでできている。だからこそ、この状況を打破していく勇気あるチャレンジャーが必要。打破するためには、経済性や規模感がないと、いつか潰されてしまう」。

堀江氏は、パネルディスカッションの最後のメッセージとして、太陽光発電への興味を示した。「もともと太陽光発電には関心があった。特に、それぞれの地域で自家発電することは、すごく面白いアイデアだと思う」と述べた。(オルタナS副編集長=池田真隆)