江戸時代後期に製作された江戸切子の技術を受け継いだ若手職人たちの作品展が行われている。青をテーマに、16の作品が並ぶ。天保5年(1834年)から始まった巧みな技の結晶だ。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
6月6日、伊藤忠青山アートスクエアで、「江戸切子若手16人展」が開催された。当日は、オープニングを記念し、展示作品を製作した若手職人たちも会場に駆けつけた。伊藤忠青山アートスクエアでは、2013年3月にも江戸切子展を開催しており、今回で2回目だ。
江戸切子本来の伝統を受け継ぐ職人の数は年々減少し、技を継承していくことが困難な時代となっている。伝統を重んじ、守り続けるために、同社では、若手職人に光を当てた。
展示作品のなかでも、ひときわ異彩を放つ作品があった。それは、堀口切子を創業し、三代秀石を継承した堀口徹氏(38)が製作したものだ。ほかの作品はどれも丸みを帯びた形状だが、堀口氏が製作したものは6面対の正方形だ。
光学ガラスを使い、縦横高さそれぞれ12センチで仕上げた。カットした場所をスプレーで青く染めてあり、見る角度によって、青が濃くなったり、薄くなったり、浮かんで見えたりと、異なる表情を映し出す。
堀口氏は1999年、二代目秀石の須田富雄・江東区無形文化財に師事し、2008年に三代目を継承した。今回の作品については、「幼少のころに使っていた器の色を思い出してつくった」と話す。
江戸切子は透明であるがゆえに、周りの背景によって姿を変える。置くテーブルの色や、器の中の水の色、上から当たるライトの色にも影響する。「周りの環境で変化することが楽しみ方の一つ。器にもこだわると、お茶を飲むことも楽しくなる」と堀口氏。
透明へのこだわりは、小林昂平氏(27)も語る。小林氏は16人の若手のなかで最年少の職人だ。「透明は地味だが、気持ちを込めている」と言う。江戸切子はガラスに切れ目を入れていく作業を繰り返すが、少しでも切れ目がずれてしまうと、描いていた作品とはならない。繰り返しの作業でも、「神経を集中して、無心で作業を続ける」と話す。
「江戸切子若手16人展」は7月7日まで。場所は、伊藤忠本社横の伊藤忠青山アートスクエア(港・北青山)。会期中は無休で、入場は無料だ。
6月7日(土)から、アートスクエア向かいの家具業界において数少ないリーディングブランドとして、世界中に知られるカッシーナ・イクスシー青山本店において、その意義・目的に賛同して、「江戸切子若手16人展」連動企画として1階ショップ、2階リビング・ダイニングフロアにて、この開催期間中に限り、江戸切子の展示販売が行われます。モダンなイタリア家具と日本の伝統工芸のコーディネーションをお楽しみ下さい。
詳細はこちら⇒http://www.cassina-ixc.jp/shop/t/t1446