旅行者の動向調査などを行うじゃらんリサーチセンターの横山幸代副センター長は、「若者が旅に求める非日常は、豪華なホテルや贅沢な食事などではなく、他人の生活に馴染むことになってきた」と話す。興味分野は豪華なホテルやリラックスできる温泉という従来の観光資源から現地に暮らす人が持つ生活文化になってきたという。

成瀬さんも、既存の観光旅行ツアーにはたとえ格安でも興味を抱かないという。「オリジナルな旅で現地の人たちと触れ合いたい。ツアーは、すでに決められた予定通りの行動をするので、予定外がなく、自分でつくる感覚が欠けている」。

情報やモノで溢れ、消費行動を控えがちな傾向にある「さとり世代」には観光旅行ツアーは響かないのだろうか。成瀬さんは、「ツアー事態が嫌いなわけではない」と話す。「モノを買わなくなったとはいえ、モノ事態に興味がないわけではない。ツアーも同じ。均一化されてしまい、ストーリーを感じないから買わないだけ。人と触れあえストーリー性のあるツアーなら行ってみたい」。

2012年3月には観光立国推進基本計画が閣議決定され、2016年までに国内における旅行消費30兆円、訪日外国人旅行者数1800万人を目指す。モノから人へ関心が移る若者たちの「非日常」を捉えるため、旅行のあり方も変わってきている。(オルタナS副編集長=池田真隆)

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