旅中では、「テーマを持って動いた」と成瀬さん。ノマドプロジェクトと名付け、世界中の起業家500人と出会う旅を行った。起業家たちと話し、時代の変化を肌で感じたという。

「これからは大企業でもベンチャーでもなく、個人で動ける時代になる。ネットの発達で世界中とつながれるようにもなった。しかし、つながっていることで、世界の片隅で起きたことが、正反対の地まで影響するようになっている」

例えば、ギリシャ危機やサブプライムローン問題が、世界のどこかの地方都市の人事に影響を及ぼすこともあるのだ。このような環境では、「世界に出ることから、世界にいる感覚へシフトする必要がある」と話す。

5月には自身初となる著書『自分の仕事をつくる旅(ディスカバー21)』も出版した。世界中をテーマを持って旅した旅人11組の紹介や、どのようにして「テーマを持った旅」を実施するのか方法が記されてある。

「旅のイメージは放浪や遊びが強く、ある種『逃げ』の印象があった。なので、履歴書に旅のことを書いても、その期間に『穴』が空いているような印象を与えていた。でも、テーマ性を持ったオリジナルな『つくる』旅なら、履歴書に書くことができる」。

著書には、世界のヒッピー文化を見て周り、多様性の必要を感じ、帰国後に宮崎県で地域活性化に挑む若者や、途上国を周り、BOPビジネスの可能性を感じ、起業した者などの旅がふんだんな写真とともに紹介されている。

求められる「つくる」感覚

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