マイクロ・ビークルは排ガスを出さないため、ガソリン車に比べ環境に優しいと言われる。また、ガソリン車はエンジンが温まっていない状態で走ると窒素酸化物などを排出するため、短距離の移動は電気自動車の方が環境面で適している。最近はセブンーイレブン・ジャパン(東京・千代田)が宅配サービスにトヨタのパーソナルモビリティ「コムス」を導入するなど徐々に普及し始めている。
 
松尾さんは京都工芸繊維大学で無機材料の分野を学び、1985年、宇部興産(山口県宇部市)に入社。窒化ケイ素というセラミックスの開発を担当したが、より最終製品に近い分野の研究をするため90年、大阪ガスの子会社・関西新技術研究所(京都市下京区)に転職。受託研究業を行う同社でリチウムイオン電池の研究を進めた。

2002年、マイクロ・ビークルの開発をする企業や大学向けにリチウムイオン電池を販売する事業を立ち上げる話が持ち上がり、松尾さんは担当部長に任命されながら、事故が起きた場合の安全面への不安から04年末に事業が中止に。「一人でもその続きをやりたい」「マイクロ・ビークルを開発する人たちを支援したい」との思いで05年に独立し、マイクロ・ビークル・ラボを設立した。

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