6月21日、コミュニティデザイン研究所が運営するコミュニティデザイナー養成学校で「宮治勇輔さんと語る会」が行われた。宮治さんは農業という分野で幅広いコミュニティを持っている「株式会社みやじ豚」、「農家のこせがれネットワーク」の代表だ。
宮治さんは今でこそ農業に従事しているが、以前は全く興味がなかったという。宮治さんが農業の道を進むことを決めた一つのきっかけは、たまたま手に取った農業の本との出会いだった。それまでは両親が養豚業を営んでいたが、宮治さんの目標は起業することだった。
しかし、その一冊の本を読み、自分の中に流れる血が騒いだのか、その時から宮治さんは農業に惹かれていく。そうして勉強を進めていると、企業勤めの経験がある宮治さんだからこそ見えた問題があった。その問題とは「生産者に価格決定権がないこと」「消費者から生産者の顔が見えないこと」だ。農業に従事している人は、あまり問題としてとらえていない現状もあるという。
その理由としてパッケージングされた仕組みが出来上がっており、そういった流れが長々と繰り返されてきたので、農業従事者にとっては当たり前すぎて逆に気づけなかったのだろう。日本の農業が抱える大きな問題に気づいた宮治さん、その時に心の中で大きな目標、理念が生まれた。
「一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にする!」という目標だ。
それから先はさまざまな問題にぶつかってきたがその揺らぎない理念があったからこそ、壁も乗り越えられた。「自分の中にしっかりとした理念を持ち、その理念と真摯に向き合い続けることが、お金を稼ぐことよりも大切なことだ」と語ってくれた。
宮治さんは自分のことを「豚に触らない養豚家」という。実際にみやじ豚の生産はお父さんと弟さんが担当し、宮治さんはみやじ豚の販路開拓、ブランディング、また農家のこせがれネットワークと活動は多岐にわたる。
しかし、そのそれぞれの経験、得意分野を活かした役割分担ができているからこそ今の「みやじ豚」があるのだろう。と宮治さんの話を聞いて感じた。ここから学べることは、農業とひとえに言ってもさまざまな携わり方があるということだ。
宮治さんの成功例はあくまで一例であり、自分の持つスキルをいかに農業につなげていくか?が大切だ。農業は今までクローズな部分が多かった分野であったからこそ、農業の秘める可能性はとても大きいことを宮治さんから気づかせてもらった。
宮治さんのお話の中でとても印象に残った言葉があったのでご紹介する。
「『日本を変える。』というと難しく感じてしまうが、お金の使いかた(消費行動)を変えれば、日本を変えることはできる」
この言葉の真意を知りたい方は月一回、宮治さんが行っている「みやじ豚」のバーベキューに参加して、ぜひ宮治さんご本人からの熱い言葉で聞いてほしい。(オルタナS 北川義樹)