食べ物付き月刊誌「食べる通信」は、全国300カ所での創刊をめざし、クラウドファンディングに挑戦している。目標金額は500万円で、現在420万円が集まっている。募集締め切りは本日8月11日。発起人の「東北食べる通信」・高橋博之編集長は、「農家や漁師の社会的地位を高め、一次産業をめざす若者を増やしたい」と意気込む。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

今回、クラウドファンディングに挑戦している「東北食べる通信」の高橋編集長(写真真ん中)

今回、クラウドファンディングに挑戦している「東北食べる通信」の高橋編集長(写真真ん中)

東北食べる通信とは、食べもの付きの月刊情報誌だ。雑誌を購入すると、その時期に合った東北の旬な食材も付いてくる。届けられた食材の生産者の生き様や一次産業にかける思いなどをインタビュー形式で特集しており、食の裏側も知れる。

同雑誌は、2013年7月に創刊し、約1300人の定期購読会員がいる。生産者のイメージを高めるだけでなく、経済的に支える仕組みを構築している。

それが、CSA(Community Supported Agriculture)会員だ。この会員は毎月1980円を前払いすることで、生産者から収穫物を得ることができる。特徴的なのは、天候のリスクも負担することだ。前払いなので、天候が悪ければ、不作で収穫物を得られないこともある。これまで、生産者のみに天候リスクを背負わせていた状況を変えた。受動的だった消費者を主体的に変えたことで、会員自ら販路拡大やブランド化へ、生産者の協力をすることもある。

生産者のことを伝えることで、受動的な消費行動を主体的に変える

生産者のことを伝えることで、受動的な消費行動を主体的に変える

高橋編集長は、「このCSAの仕組みを全国に広げていきたい」と、今回の企画を始めた。集めた資金で、東北だけでなく、地方各地で「食べる通信」を展開できるウェブ・プラットホームを作成する。

一次産業の高齢化と担い手不足は深刻な社会問題だ。農林水産省によると、1995年では農業就業人口は414万人で、平均年齢は59.1歳だったが、2010年には人口260万人に減り、平均年齢65.8歳と上がった。

この状況に高橋編集長は、「政治がどう、役所がどう、農協がどう、スーパーがどうなどと批判しているだけでは何も変わらない」と断言する。「『食べる通信』のコミュニティーが全国規模に広がったら、日本における生産者の社会的地位は高まる。そして、収入も増え、担い手も増えるはず」と声を上げる。

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