今、気候変動やピークオイル(石油の減耗)に直面している私たちは、幸せで持続可能な社会の実現を切実に願っている。また、それはどうすれば可能かを模索している最中にある。 

この、幸せと持続可能の両立の追求は、幸せの中身を問い直し、そして幸せと経済との良い関係を探ることと一緒だ。そして、その取り組みが今最も進んでいるのが、地域である。全国各地で自治体や、地域に根を張る企業や団体が、景観保存やてんぷら油の回収、LRT(次世代路面電車)の活用などに取り組む。

例えば東京都は国に先んじてCO2の排出量取引制度を導入した。また、古着の物々交換を行う「xChange」は大量消費を見直し、人と人との新しい結びつきを作ろうとしている点で画期的だ。
本書は、それぞれの現場で知恵を出して頑張っている全国各地の事例を網羅した。 政治の混迷や、TPPを巡る議論などもあるが、たとえ国や世界がどうあろうと、地域は幸せを享受しているというのが、私の理想だ。 環境にやさしいかどうかという目先の現象に目を奪われる対症療法ではない、未来を見据えた幸せづくりが各地で始まっている。「エコを超えて」という副題には、そういう意味を込めた。(聞き手・斉藤円華)