2011年3月、コスタリカ南部のペレスセレドン郡に、中南米初となる自立生活センターが設立された。自立生活センターとは、障がい当事者による団体で、主に介助派遣で得た収入によって運営できるような仕組みを作っている。JICA草の根技術協力活動では、ペレスセレドンの障がい者が介助者を使って、地域で自立生活を送ることができるように支援を行なっている。
具体的には、①ペレスセレドンで障がい者が介助者を使って生活できる制度を作る、②障がい者に対するサービスを事業として担う自立生活センターの機能を確立する、という2点を支援の大きな柱としている。
「コスタリカにおける障がい者の機会均等法」が1996年に制定されるなど、同国内では法的整備が進んでいる。それにも関わらず、障がい者の生活は法律制定前と比較し、顕著な変化が見られなかったそうだ。障がい者の社会参加を促すことは、プロジェクトに限らずコスタリカにおける課題でもある。
「例えば、隣国のニカラグアなどでは何千人規模の団体が障がい者運動をしているが、コスタリカにはきちんとした団体もなかったので、政府との交渉もできないでいました。権利は与えられるものではなく、勝ち取っていくもの。法律が整備されている分、コスタリカでは様々な施策を推し進めやすい状況にあります。ペレスセレドン自立生活センターを中心に、介助者制度の作成と自立生活センターの機能確立、そして障がい当事者や社会への啓発活動を行なっていきたい」と井上さんは話す。
■自立生活センターとは