先日、「五体不満足」の著者・乙武洋匡さんがイタリアンレストランに入店拒否されるという出来事があったことは記憶に新しいだろう。賛否両論あるものの、お互いにとって好ましいことではないことは明白だ。障がいの有無に関わらず、誰もが暮らしやすい社会とは一体どういうものだろうか。

「色々な考え方がありますが、誰もが暮らしやすい社会にしていくためには、法律が重要だと思っています。法律の整備されたコスタリカに来てから、その思いは一層強くなりました。乙武さんにまつわる出来事について、『みんながお互いを助け合えるような、温かい社会にならないといけない』という話の流れが一部でありました。私はそれに対して違和感を感じたんです。極論かもしれませんが、人の好意がなければ障がい者は二階にあるレストランに食べに行けないのかという話になるんです。もちろん良心溢れる温かい国を目指すことを、否定するわけではありません。ですが、人の善意はいつでも受けられるわけでもありません。たとえ人の良心がなかったとしても、法律に基いてインフラが整備されている、やるべきことが明記されている。それこそが平等な社会なのではないでしょうか」と井上さんは疑問を投げかける。

人の良心には温かさを、法律にはどこか冷たさを感じてしまう。良心に頼るということは、話としては美しいが、それが享受できなかったとき、果たして平等な社会は保障されるのだろうか。これらは車輪の両軸で、どちらか一方で社会が成り立つわけではない。どうすれば誰もが暮らしやすい社会を実現できるのだろうか。一人ひとり、思いを馳せてもらいたい。

・メインストリーム協会 JICA草の根技術協力活動日誌
http://cilmainstream2.blogspot.com

・JICA
http://www.jica.go.jp

1 2 3 4