「壁沿いの厨房が客席を包むレイアウトで、友人宅に遊びにきたような雰囲気に。中央の大きなテーブルも特注で、温かみを感じる木材を使って知人の作家に作ってもらった。食だけでなく、生まれる会話や人とシェアする感覚を重視したい。そんなオーナーの考えに沿った、店舗デザインになったと思う」

そういう堤氏自身、人が集まる場を作ることがライフワークになっている。大阪・通天閣周辺で3年前から開催されている、デザイン・アートイベント「ツムテンカクhttp://tsumutenkaku.com/」は仕掛け人の一人。当初は親しいクリエイター同士で集まって企画した共同展示会に、年々賛同者が増え、斬新なアイデアと多彩なコンテンツで今や大阪の名物イベントになった。この他、クリエイターのシェアオフィス「FACTO」を運営するなど、堤氏はいつも人の輪の中心にいる。

ツムテンカク2013の参加クリエイターによる打ち上げ

全ての活動の根底には、人の生活を面白くするデザインやアートを、もっと日常に溶け込むものにしたいという願いがあるという。「デザインやアートは、なくても死にません。でも、あるともっと心が豊かになる。創り手も、それを見ている人にも楽しい時間を、もっと増やしたいんです。それが「人の記憶に残る場づくり」にも繋がると思っています」。

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